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■ 489■ 10月11日 2007
「チョータナー」
バンコクでの単身赴任は3年間に及びましたので、住まいの不都合が
沢山貯まっています。時間だけはたっぷりとあるので、自分でこつこつと解決することにしています。裏庭の木の枝伐採に続き、次なるホームワークは屋上のペ
ンキ塗りです。
僕の住んでいるタウンハウスは、大家との契約で、どんな改造をしても良いという条件です。何年住んでもいいというのですが、一切何もしないという条件も
ついています。
家の不都合はすべて自分で処理しなければなりません。雨漏りの件にしても、再三苦情は出していますが、結局何もしてくれません。天窓の雨漏りなどは、自
分で業者を見つけて、トタンの雨樋を交換するという結構な大工事をしましたが、結局それでも雨漏りは止まらず現在に至っています。
今年はそれほど雨の量が多い雨期ではありませんので、雨漏りの問題もそれほど深刻ではありませんが、でもいつ何時大雨が降るかも知れませんので、準備を
怠るわけには行きません。時々バンコクに出てきた家人の報告でも、大雨が降ると雨もりは深刻だといいます。
まず、この家はタウンハウスの割には室内が明るいことが取り柄ですが、その分天窓からの雨漏りが始まると大変です。入居したはじめの頃はよく屋上に上り
天窓の修理などをしましたが、素人の修理では応急措置の感が否めず、それにチェンマイの乾期の暑さは想像を絶するものがありますので、コンクリートの隙間
にシリコーンなどを埋めても、2年もするとそのシリコーンがそっくりひからびてしまって、手で引っ張ると簡単に剥がれてしまう状態で、雨漏りを止めるのは
至難の業です。
専門の業者を呼んでもたいした効果がありませんので、それでは自分でやった方がいいと、危険を顧みず高所の修理に挑戦するのですが、さすが地上10メー
トルの天窓にたびたびあがるのは危険が伴うので、今は自分で出来る範囲の修理にとどめています。
屋上に雨をシーリングするペンキを塗ることにしました。まず壁のクラックを修理しなければなりませんが、いいコーティング剤が見つかったのでそれを下塗
りに使用することにしました。壁の垂直面と屋上の床が直角に交わるところにコンクリートが分厚く塗られています。これは先年家人がうるさく催促した結果、
何もしないという大家がしぶしぶ応急処置をしてくれた跡だといいます。
コンクリートは雨の進入防止剤としてはあまりいい物ではありません。乾燥するとすぐにクラックが入って、そこから雨がしみ込みます。この応急処置のコン
クリートはハンマーで取り外して見ると、簡単に剥がれ、予想したように垂直面に雨がしみこんでいました。この部分をよく掃除して、シーリング剤を何層にも
塗り込み、同時に壁のクラックも、古いシリコーンを剥がし、シーリング剤を塗りました。
これで下準備は完了、シーリング剤の乾燥を待ってペンキを塗り始めます。こちらの壁塗料は雨水のシーリング効果、UVカットなどの効果があるというペイ
ントを薦められました。これで屋上の強烈な太陽の照り返しを反射出来れば一挙両得です。
この種の修理材料はチョータナー通りにある専門店で買いそろえます。ここはペイント、建築材料、電気器具などの専門店が軒を並べている街で、たいがいの
物は手に入ります。日本人が家を修理するというので、珍しさも手伝って親切に相談に乗ってくれます。専門家が相手の問屋ばかりですので、それなりに古くか
ら商売している家が多く、店構えも本格的で、通り全体がかなり歴史を感じる町並みをしています。
香港にも同じ様な街があり、ワンチャイ、クインズロードイーストなどは五金屋といって、金属部材を主にこの種の材料屋が軒を連ねており、良く小物を買い
に行きました。
しかし、香港は高層住宅でコンクリートですので、素人の僕に手が出せる範囲は限られており、主に水回りの小さなトラブルや、電気器具の不都合などを直す
程度でしたが、チェンマイでは家のメンテナンス全てが自分の範疇で、実にいろいろな不都合が、次から次へと発生するので挑戦する意欲が湧いてきます。その
際はチョータナーに出かけますのでで、顔なじみの店も何軒か出来ました。
大体、この街の古い問屋の主人というと女性で、店を切り回しているという表現がぴったりの働き者です。タイ語がおぼつかない僕としては女主人が英語を話
してくれるとありがたいと思っていると、店の奥から息子が出てきて、この息子が大体英語が出来る人が多く、どんな注文にも親切丁寧に応対してくれます。ビ
ニールパイプを10センチなどという素人の注文にも嫌な顔をしないで応えてくれます。
こんな便利な息子がいない店では、女主人を始め、これも女の従業員が日本人の僕を珍しがって集まってきて、「日本人か?」「どこから来たのだ。東京か、
大阪か、広島か」などと問いかけて来ます。なぜここで広島という地名が出てくるか不思議ですが、聞くところのよると、知人が広島、大阪、東京に旅行にいっ
て非常に楽しんで来たとのこと。
現在タイバーツ高で、円に対して交換レートがいいのでちょっとした日本旅行ブームが起こっているという話ですが、同じ現象がチェンマイの古い町チョータ
ナーでも起こっていると思うとちょっとほほがゆるむ感じです。
こんな女主人や、従業員に捕まると小さな買い物でも時間がかかってしまいます。専門業者を相手の問屋の商売はそれほど多忙を極めているわけではありませ
んので、先方は時間をもてあそんでいるというのが偽らない僕の感想です。
温泉は何処がいいのか。日本の温泉は真っ裸で入るそうだが本当にそうかという質問もあります。タイ人は他人に裸を見せることはタブーですので、温泉には
行きたいのだがその点がちょっと不安だといます。チェンマイ郊外サンカペンには温泉がありますので、土地の人は温泉に対する興味津々です。
大浴場ではそうだが、家庭風呂では他人は入ってこないと説明をするのですが、僕のつたないタイ語では意味が正確に伝わっているかどうか不安です。この種
の長話をするのは、総じてタイ語しか話さない地元のおばさん風の人が多いので、僕のボキャブラリー不足のタイ語では物の役には全く立たず、さりとて相手は
真剣な問題などで簡単に離してはくれず、つき時間が過ぎていきます。ベニヤ板1枚を買うのに30分を要したこともあります。
大きなベニヤ板はそのままでは車に入らないので2枚に裁断を頼むと、今度は男師が出てきて、日本の女性と近づきになりたいのだがどうすればいいか、など
とまるで僕を出会い系サイトの管理人に間違えている風のとんちんかんな質問を浴びせてきます。
多少はうるさいですが、素朴な彼らは実に人柄が良く、つまらないことの相手をしていても腹が立つことはありません。だって、こちらは時間だけはたっぷり
とあます。この一見無駄だと思われる時間が、なんだか僕がチェンマイと同期している感じがして、このあたりがチェンマイ生活のいいところだと思います。
ペンキ塗りはことのほか楽しいもので、次々と薄黒くなった壁が見違えるほどきれいになって行くのは、感激ものです。2メートくらいの竿を利用すれば高い
ところも簡単に白くすることが出来ます。最初は屋上の床だけペンキを塗る予定が、壁も、塀もなど次々と白くしたい欲望が湧いてきて、おかげで何回もペンキ
を買いにチョータナーに出かける羽目になりました。
ギリシャや、地中海の島々では、家を真っ白に塗るのは男の仕事で、それもしょぅちゅう塗らな ければな
らないと、これは宗教的上のこと
と、強烈な地中海の太陽から身を守る行為だといいますが、以前テレビで見たときは、島中の家をあんなに白く保つのは大変な重労働だろうと思いましたが、い
ざ自分でやってみると、大変どころか結構楽しい作業だということが体験できまました。
こうなった以上は屋上全体を白い色で統一しようと、励みました。真っ白な箱の中にいるような状態になった屋上は、確かにきれいになりましたが、洗濯物を
干しにあがると、反射日光で目が痛くサングラスがなければ洗濯も干せないと家人からクレームが出る始末です。
そんなところまでは想像していませんでしたので、失敗かというとそうではなく、洗濯物も良く乾くような気がするとお褒めを頂く部分もあり、その後2、3
回大雨が降りましたが、雨漏りはぴたりと止まった様で一安心です。しかし、家人の観測では今年は極端に雨が少ない雨期だともいいますし、油断は大敵と、覚
悟を新たにしている今日この頃です。
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