サ キさんのチェンマイ日記

                                        
 
■ 483■ 8月19日 2007

「家具屋と家具店」
 
←やっと見つけた本格的OAデスク

 6年まえ家具を購入した店は以前と変わらぬ場所に存在しました。

 しかし、その近代的な大型家具店のチェーンストアー「INDEX」はあまりにも以前の薄汚れた家具屋とは様子が違います。僕はここが以前の家具屋だと信 じ切っていますので、その変貌ぶりに驚きました。

 家人はそういえば、以前家具屋の主人が近くINDEXと提携して店の規模を拡大するといっていたと、昔の話を思い出しました。新聞でINDEXの全国展 開は知っていましたが、これほどの規模とは想像できませんでした。

 のぞいてみると、6年まえ購入した家具などとは比較にならないほどのモダンで、すてきな家具が大量に展示してあります。この家具店や、これもスーパーハ イウエー沿いに、僕たちが移住して1年後に開展したHOME PROのチェーン店の出現は、それだけチェンマイが田舎町から都会に変貌して行く証拠のような出来事でした。

 そうです、僕たちが移住した2001年当初は、チェンマイにはこれといった家具店が存在しませんでした。旧市街に小規模な家具屋はありましたが、求める 本棚や、机などはなく、間尺に合わない貧弱な家具ばかりでした。セレブは本格的な家具家具が必要になったらバンコクに出かけていってそこで買い求め、チェ ンマイに配送してもらっているとのことです。でも、我が家ではそこまでの気構えはなく、当面使える家具でよいと考えての品探しなのでしたが、それが旨くい かないのです。

 今のチェンマイと事情がまったく違いました。当時事情通のE君も町中を駆けめぐってくれましたが古びた家具屋しか見つかりません。

 しばらくして見つけたのがチェンマイで唯一のこの古びた大型家具屋でした。チェンマイでは移住当初自分たちが住む家を何軒か精力的に見て回りましたが、 チェンマイの家屋には台所の設備がないところが多いのです。僕たちが選んだタウンハウスも裏庭に小さな簡易調理台があるだけでした。チェンマイ人は家で料 理をそる人が極度に少ないようです。これは香港にも通ずる話で、台所を汚し、食器を汚すくらいなら外食をした方が合理的だという人が沢山存在するようで す。

 台所を注文でしつらえることにしました。家人が大体の構想を伝え、設計者の卵のような青年が設計図らしい物を書いてきて検討を加えて手作りの台所が完成 しました。調理台の上の棚の位置が高過ぎるというと、5,6人がかりで乱暴に剥がして、再度取り付けます。どうもここの職人は乱暴者そろいの印象を受けま した。台所は全て手作りで非常に頑丈に完成しました。

 終始中国系のご主人がにこにこ顔で手配をしてくれたこの家具屋で購入した物のリスト。洋服ダンス3竿、勉強机2セット、本棚3組、カーテン、ブラインド など総計20万バーツくらいです。それもセンスは度外視し、目的を果たせばそれでよしという代物ばかりです。選ぼうにも種類があまりありませんでした。

 どうも、僕たちがチェンマイに移住した時期は早すぎた感があります。その後1年してHOME PROが出現。その豊富な品揃えとセンスの良さに驚くと同時にあきれかえってしまいました。システムキッチンなどは我が家が注文したのと同じくらいか、そ れ以下の価格で品揃え豊富な中から選べるのです。この無念さは家人が今でも台所の不都合などは見つかったごとにこぼす苦情です。

 チェンマイでは家具に限らず、大型スーパーストアーなどのチェーン店はタイ全土に店舗を拡大しており、外国資本も積極的に参加しています。前政権時に許 可された大型店舗出店の規制緩和はカールフールやロータス、BIG Cなどの大型スーパーストアーをタイ中に出現させました。資本はイギリス、フランス、オランダなどヨーロッパ各国です。

 その規模は移住当初、こんな田舎街に体育館ほどの規模のスーパーマーケットが4軒も必要なのかと疑問に思うほどでした。しかし、週末は駐車場が満杯にな るくらい集客していましたので、チェンマイの消費力に驚いた記憶があります。

 しかし、これが現在問題になっている点です。こんな大型店が次々に出現すると、地場の小売業は壊滅的に打撃を被るのは想像に難くありません。以前からの 小規模小売業にダメージを与えかねない大型スーパーストアーの全国展開は見直しの時期に来ているといいます。しかし現状はどうやらそれは危惧のようで、ど うなることやらとしばらくチェンマイ市内を観測していましたが、従来からある小規模の小売店が倒産したり、閉店したりする気配がありません。このあたりが 日本とは事情を異にします。

 事実、大型家具チェーンがチェンマイに出現した現在でも、従来の古い家具屋もそれなりに営業している不思議を実感します。バンコク単身赴任中の3年間の 間に買い求めた雑多な品物や、香港のT氏がご厚意で送ってくれた本が貯まりかなりの量になったので、チェンマイでは本の収容に困って、6年前に本棚を買い 求めた家具屋に出かけて新しく購入することにしました。

 まずカールフールに併設しているHOME PROで本棚を物色しましたが、適当な物がなく、移動することにしました。以前の家具屋は確かINDEXという名前だったと記憶しており、しばらく車を走 らせていると、超モダンなファニチュアーセンタが出現しました。看板にはINDEXとあります。6年前は中国系の当主が、あれこれと世話を焼いてくれて、 家具台所用品は全てここで買い求めたことを思い出し、あの店もこんな具合に大変身を遂げたのかと、感慨深ものがありました。

 しかし、この店は大型チェーン店が展開しているもので、以前の家具屋はINDEXの商品を扱っていた地方のディラーでしかなかった現実がこの後判明しま した。

 スーパーハイウエーをしばらく走ってサンカペーンに曲がる交差点の少し手前、大型スーパー「メコー」の手前にその古びた家具屋は影薄く存在しました。

 同じ種類の本棚はすでにディスコンになっていましたが、愛想のよい店員は我々の顔を覚えてくれており、購入した品物は即日配達可能でした。うらぶれた感 じがした店内は、エアコンなし、大型扇風機が沢山回っていましたし、照明も暗く、展示方法も垢抜けしない田舎の家具屋でしたが、新設の大型店に比べて、何 だか人間の暖かさを感じさせる良さがありました。この暖かさが大型で強力なコンペティターが出現しても商売を続けていける秘訣だと納得しました。

 タイの大型スーパーマーケットの周辺には屋台や、小さな洋服店、小物店などがひしめき合う感じで商売をしています。スーパーマーケットで売られているの と同じ商品も多く、これでよく商売が両立するものだと感心させられますが、そこがタイの不思議なところです。日本では考えられない現象です。それに、大型 スーパーマーケットには、店内にもこの種の小規模な店が沢山あって、スーパーと同じ商品を扱ったりしています。タイのまか不思議な部分です。

 どうもタイ人はこの両方を旨く使い分けている感じです。小規模の店では、人間味あふれる買い物、値切ったり世間話をしたりすることを楽しみ、特売品や新 鮮な物を買うときは、大型スーパーと決めているふしがあります。

 そのほかに、所得に比例して買う店を選択しているきらいがあります。低所得者から中所得者まで、広い客層を集客すべく大型ストアーが駐車場の空きスペー スなどを提供して、小型店舗を誘致しているようです。このあたりはヨーロッパ資本がタイの経済格差を良く研究した結果だともいえ、感心させられる部分で す。

 商品をワゴンに入れてレジに運んで行き、機械的な会計をするだけの、合理的なスーパーマーケットと、アナログ的な小規模店を両立させている秘密なのかも 知れません。

 だから、タイでは郊外型の大型スーパーストアー付近の商店街がシャッター街に変貌して寂れ去ることはないようです。



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