■ 474■ 5月17日 2007
「質屋」
↓タイの質屋さん
「風が吹けば桶屋が儲かる」という因果関係ほど複雑ではありませんが、タイでは「新学期が近づくと質屋が儲かる」といいます。
街に学生の姿が戻ってきました。
一年で一番暑い長期休暇が終わって、タイでは5月に新学期が始まります。新しく学校に入学する生徒も、進級した生徒も気分を新たして新学期を迎えたことと
思いますが、親も同じ気持ちのようで、少しでもきれいな制服で学校に通わせたいという気持ちや、学費の工面で、質屋に通う人が少なくないようです。
先日もこんな新聞記事を見つけました。
「質店が利下げ、新学期迎える保護者に配慮」
社会開発・人権保護省は全国の公営質店に対し、6月中旬まで利息を下げるよう指示した。この時期は子供の新学年準備のため質店を訪れる保護者が多い。利
息は3000バーツ以下で0.75パーセント、1万バーツ以下で1パーセントに引き下げられる。質店の利用者は年々増加しており、2005年には96万人
以上、2006年には100万人以上が利用している。
この記事を見ると、結構質屋の利用客が多いことが分かり、裏を返せば貧しい人がそれだけいるということにもなります。確かに街を歩いている新入生を見て
いると、新しい制服に身を包んでいる生徒を多く見かけます。タイの小中学生の制服は、男児は黒か、空色の短パン、女子はスカトと、上は白色のシャツと決
められています。それに髪は、男児はGIカットに似た学生刈り、女児はおかっぱです。なかなか清々しい感じがして好感がもてます。
しかし、時代の波は多様化を求めているようで、一部私立学校では日本のようにデザイナーに依頼して制服を決めている学校もあり、人気を集めているようで
す。制服がすてきだからその学校を選んだ、などというちょっと不可解な理由がタイでもまかり通っているようです。
これは小中学校だけではなく高校、大学でも公立校では制服が守られています。でも、よく観察していると大学生(1年生は制服厳守のようです)などは、胸
元がはじけてしまうくらいぴちぴちの白いブラウスがトレンドのようで、スカートも丈が短く、それを腰の低い位置で着るのがカッコいいようです。ローウエス
トは今の流行ですが、それに短いぴちぴちの上着を着ている学生を見ると、ちょっと不自然さを感じてしまいますが、そんなことはおかまいなしで流行に憧れ
る乙女心はどこでも変わらないのだと、微笑ましくなります。太いベルトを腰の低い位置にゆるゆるに締めるのも格好良さの表現のようで、あまり低い位置な
のですり落ちないように、ステーショナリで使う黒いクリッピで止めているのを見ると、これも微笑ましさが増します。
質屋に通う親の真反対はセレブな学生です。メルセデスなどを男勝りの運転で街を疾走している学生などを見ると、ちょっと日本では考えられない数のセレブ
がタイには存在するようです。物の本によれは一学級に一人の割合で億万長者の子弟がいるといいます。これは貧富の差がそれだけ激しいことの現れで、タイの
現状を物語っています。
だからどう考えても理解の出来ない流行なども出現します。かなりまえから歯列の矯正器(ブリッジ)を歯にはめている若い女性を見るにつけ、タイでもアメ
リカのように、
歯列が悪いと育ちが悪いと見られる風潮があるので矯正している子が多いのだと思っていたら、これは一種の流行で、セレブが歯の矯正をしているのに憧れて、
ファッションとしてはめている乙女が多いと聞いて呆れ返りました。本来医療器具だったものをファッションにしてしまう女性心理は、歯を歯列矯正するのはか
なりの金額を要し、それをしているのはセレブの証拠だと言う訳で、「私もそうよ」と、別段歯並びが悪くない人も付け始めたのが流行になったようで
す。
しかし、よく見ると赤や青などの小さな飾りが付いて、上下の歯にはめているのを見ると、どう見てもセレブには見えず、なんだかその昔、日本でも時々見か
けた、金歯を自慢げに見せているお獅子のような歯をした男性を思い出してしまうのは、僕だけでしょうか。この器具は粗悪品が売られていて、人体にも悪影響
があると禁止されているようですが、今でも結構見かけます。乙女心は摩訶不思議というか、所変われば品変わる、というか奇妙な流行が当たり前
になっている、こんな例は探し出せば日本にも沢山あるようです。
そういえば日本ではほとんど見かけなくなった質屋、香港でもまだ結構健在で街角でよく見かけます。中国語で「當」と書いてあるのが質屋だとは、しばらく
気がつきませんでした。浅学で中国語の意味は分かりませんが、タイでも同じ中国語を併記してあるのは、タイも中華圏であることの現れで、歴史を感じさせま
す。
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