■ 466■ 3月9日 2007
「チェンマイの空気が大変です」
↓ただいま「ソンテウ」乗車中

メキシコシティー、バンコクが世界2大空気汚染の都市だと書いたら、それより大変な事態がチェンマイに起こっているのを新聞報道で知り、驚き
の頂点に達しています。
【チェンマイの空気汚染、危険レベルに 】
公害管理局は5日、チェンマイの空気汚染が危険レベルに達したとして、高齢者や子供を中心とした県民に屋外での作業を控えるよう警告した。空気中のちり
片濃度は1立方メートルあたり120マイクログラム以上であると危険とされているが、山に囲まれたダウンタウンでは197.7マイクログラムが観測され
た。原因は北部や隣国で起きている山火事とみられている。
僕がチェンマイに住んでいた頃や、最近でも休暇でチェンマイに帰って時に感じるのは、バンコクの汚染に比べたらまだましだろうと思っていましたが、実はそ
うではないようです。
先の旧正月に帰ったときも、朝方や、夕方太陽が沈んだ後に感じる清涼感は、バンコクでは味わえないもので、明け方6時頃窓を開けると、新鮮で清涼な空気が
部屋の中に流れ込みます。
これがバンコクでは、同じ時間に窓を開けるとあきらかに匂いのある生暖かな汚染された空気が流れ込み、日によってはその匂いにたまらず、慌てて窓を閉めエ
アコンのスイッチを入れる日も多くあります。
今は、特に乾期が終わりにさしかかり、約6ヶ月に渡って雨が一滴も降らないのですから、木々や街はからからに乾ききって、そこへ乾燥して舞い上がった砂塵
や、排気ガスの塵が積もって、よくあれで呼吸が出来る物だと感心するくらい街路樹が白茶けています。が、よく観察しているとその埃がたまっている葉の間か
ら薄緑の若葉が出ている事を発見した時には、自然界の力強よさに感心させられます。
そうです。バンコクでは何ヶ月も雨が降らない乾期の最中、2月、3月に木々は若葉を出したり、花を咲かせたりするのです。これは日本のように年中雨が降
り、野山が一年中みずみずしさを保っている国から見ると実に不思議な光景です。僕も今まで、木々が花をつけるには水分が必要だと考えてきたのですが、タイ
のような熱帯の土地は水がなくても草花が育つように変化しているのかも知れません。
だから今の季節はバンコクも、チェンマイも花が咲き乱れて街の様子が一変します。毎朝通勤で通るラチャダ道りの街路樹にも、最近国花「ラチャプルック」の
黄色い花を見るようになってきました。この黄色い花が咲き出すとタイは一年で一番暑い季節を迎えるのです。
この時期のバンコクとチェンマイの気候で一番の違いは、湿気です。海に近いバンコクの方がチェンマイより湿気が多いように感じます。だから体感温度はバン
コクの方が高く感じるのかも知れません。事実気温差もかなりあり、この時期、家の中は涼しさを通り越して寒さを感じるくらいで、時々外に出て「日光浴」を
したい欲望にかられます。体感温度と湿気の関係はかなり密接のようで、湿気がなく乾燥しているサンフランシスコなどは、この季節、ビルの陰に入ると寒さを
感じ、コートが欲しくなりますが、一旦太陽が照りつけている日向に出ると、今度はTシャツ一枚になりたくなり、街を見渡せば、分厚いコートを着ている人が
いると思えば、半袖のTシャツ姿の若者がいたりと、着るものも様々です。
チェンマイのその雰囲気があって、僕などは長袖のシャツを着ないと朝方は寒くて仕方がなく、昼に外に出ると今度は半袖と、時間によって着替えないとチェン
マイの気温に適応できません。でも、この外に出るというのが空気汚染で危険といわれると、車をバンコクに運んでしまってチェンマイでの移動手段はもっぱら
ソンテウに頼っている現状では大変です。
このソンテウ、元々荷物を運ぶためのピックアップトラックに荷台に2列の座席を取り付けただけのもので、窓などなく、排気ガスをもろに吸い込んでしまうと
いう危険極まりない乗り物です。空気汚染が進んでいない田舎道を行くのであれば(でも乾期の今、未舗装の田舎道をこれ走ったらいったいどうなるだろうと想
像すると、恐ろしくなってしまいます)これでも良いのかも知れませんが車の量が増えすぎているチェンマイのような街なかでは、今や危険極まりない盛り物だ
といわなければなりますまい。
行政もなんとかこの最悪の状態を改善すべくバスを走らせていますが、長い間ソンテウに乗り続けている住民の意識改革は進まず、バスは赤字経営を余儀なくさ
れているといいます。どこにでも止まってくれるソンテウの方が便利だといいます。車があれば窓を閉め切って、エアコンをかけて走れば汚い空気を吸い込む心
配はなくなります。でも、自分がこの最悪に近い空気汚染の原因の一端を作っている罪悪感に苛まれたりします。
大気汚染は世界中で対策が急がれる大問題ですが、チェンマイ市民もその現実に気ついたというか、車メーカーもそんな流れを察知したというべきか、出かけた
エアーポートプラザで、新車の展示会のなかにトヨタのハイブリットカー「プリウス」が展示されているのを見てちょっとほっとさせられました。次回チェンマ
イで車を購入するときはハイブリットを買おうかなと考えたりしています。
こんな汚染地帯に住んでいる家人もこの現実に最近は敏感になってきており、住みやすい町ではあるがこの時期の空気の悪さは最悪で、なんとかならないかとこ
ぼしています。彼女の防衛策はソンテウに乗るときはマスクを着用する事です。先日の帰省時には僕の分も用意してくれて、出かけるときの必需品となりまし
た。よく観察していると交差点で信号待ちしている人や、大通りで立ち止まっている人の中にはハンカチで口を押さえたり、手で口元を覆おっている人を見かけ
ます。皆、悪くなる一方の汚染にささやかな防衛をしているのです。
先の鶏インフルエンザのおりに売れたマスクがそのうちチェンマイ生活の必需品になるのではと考えると、いささか末恐ろしくなります。6月になれば雨が振り
出し、汚染した空気が洗い流されます。雨期の最初の頃に降る雨はまさに「黒い雨」で、一度ゴルフ場で雨に遭い、UVコートした傘に黒い斑点がつき、最初は
原因がわからず戸惑いましたが、これが空気中の煤煙が付着した事がわかった時は本当に汚染度はここまで進んだかと驚きました。
日本や香港の雨期は、じめじめとして陰気で歓迎されませんが、タイの雨期は大地を潤すほかに、汚染した大気を洗い流してくれるので大歓迎です。雨も一時激
しく降るだけのスコールですので、さわやかさも運んできてくれます。待望の雨期まで後2ヶ月あまり、しかしその前にタイでは一年で一番暑い「正月(ソンク
ラン/水掛祭り)」が控えています。
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