■ 464■ 3月6日 2007
「ルーシーダットン」

チェンマイに帰って「ルーシーダットン」を体験しました。
タイ式ヨガといわれ、日本ではブームになっているようです。
チェンマイでも日本人を対象にした教室が開かれており、日本語で解説してくれるので重宝です。この呼吸法を重点においたシンプルなポーズと、ゆったりとし
た動きのエクササイズは、自分一人でどこでも出来るので、大ブームの到来を予感させます。僕は家族共々一日体験入学です。
場所はシリマカジャン、ソイ13、普通の民家を使っています。日本人がタイ人の先生の言葉を要約してくれるのでどういうポーズをとれば良いかはよく理解が
出来るのですが、胴長短足の初老にはなかなか苦痛を伴う運動です。最初は大変でも一週間通えば体はいう事を聞くようになると慰められますが、今回は一日体
験入学です。
ルーシーダットンはインドからタイに伝えられたといいます。そういえばインドから伝来したものはタイには沢山あり、タイマッサージなどもその起源はインド
のヨガだといいます。仏教もそうですし、このルーシーダットンもそうです。それに占星術を用いるタイ暦、月の呼び名などはサンスクリットを流用していま
す。タイに古くからなかった概念はほとんどインドからの伝来した表現を使っているようです。
地理的に近いこともあり、古代文明の発祥したインドはこの地区に多大な影響を及ぼしました。東南アジアの仏教国を初めとして、中国、遠く日本にもその教え
は伝えられました。その後この地区の宗教分布は、時の政治や列強の植民地化などが多いに関係して多様化し、今では仏教とイスラム、ヒンヅーがモザイク模様
になっていますが、その昔はこの地区は仏教一色でした。
タイ古式マッサージやルーシーダトンなどは、タイで長い歴史を持っているようにいわれますが、歴史的にはそれほど古くはなく、現在バンコクのワットポーの
壁に残されている文章や、境内に残されているポーズをとる塑像などが原点だといいます。これらが書かれたワットポーは現王朝の開祖ラマ1世が1788年に
寺院を再建したときに描かれたといいます。それまで伝えられていたのは口伝や伝承だけで詳しい事がわからないままに現代に至っているといわれます。
古代文明の発祥地、エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、中国文明はシルクロードを通じて出会い、お互いに融合して発展してきました。この部分
でのシルクロードとはその周辺地区も含み、タイなどはまさにその部分です。
一旦没落した文明は再び隆盛する事がないといわれたのは20世紀初頭の話で、古代文明の発祥地は今、再びすごい勢いで発展しています。まさに21世紀の奇
跡ともいうべきで、中国はその先頭を走っていますが、ここにきてインドが急上昇して注目されています。チグリス・ユーフラテス地域は石油を産出し、世界経
済を牛耳っている感があり、今後はエジプトの再浮上が予測されます。
しかし、宗教的に見ると、これらの国はイスラム、ヒンヅー国であり、仏教国が含まれていません。中国も共産主義になって以来宗教を求めず、仏教だけが取り
残された感があります。争いを良しとしない優しさが、仏教国の力強さを感じさせなくしているようです。
タイもその例で、先の内閣で経済的な離陸がはかられましたが、国民は不正を弾及してクーデターに発展し、首相はいまだ帰国かなわぬ身となりました。「足る
を知る経済」は清貧をモットーに、贅沢を否定しています。タイのような中進国が発展するには、ある時期大型経済投資やインフラ整備が欠かせないと考える僕
は、やっとタイもその時期になったかと感慨を持ってみていましたが、それは5年という短命に終わってしまいました。この先タイの政治はどうなっていくの
か、今のところ混沌としてその先が全く読めません。
ゆったりとしたルーシーダットンの動きを見ていると、激しく動き回るエアロビクスに比べ、なるほどこれがタイの精神の神髄かと何かが理解できた気持ちにな
ります。タイではすべての面で急激な変化は望まないようです。
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