サ キさんのチェンマイ日記

                                        
 
■ 456■ 12月8日 2006

「香港のアパルトマン」

香港一ののっぽビルIFC

  香港から帰ってきました。
1年ぶりの香港は、ちょうどクリスマス時期で、街のイルミネーションがきれいで街中が輝いて見えました。

このイルミネーションは香港の景気を反映していると言われ、今年は中くらいの感じに見えました。高層ビルが乱立する香港のクリスマスイルミネーションは、 ビルが高層になればなるだけ、そのキャンバスが広くなるようで、今ではビクトリア湾に面したビルは、それこそ満艦飾という感じで派手なものが少なくありま せん。

でも、よく見るとそれらは結構パターン化されている事が多く、内容もいまいちこれはという物が少ない感じがします。デザインは僕が香港に在住していた頃と それほど変わっていません。つまり、メリーククリスマスや、お金が儲かりますようになどと、香港人の関心の高い商売っけたっぷりな物が中心です。

香港にはどれほどのクリスチャンがいるのかは不明ですが、このイルミネーションを見ている限り、宗教心からの物ではなく、あくまでクリスマス商戦を盛り上 げる景気つけの物です。だからショッピングの中心銅鑼湾などは、それこそまばゆいまでの光の洪水です。バンコクのメリークリスマスと同じです。

気候は少し心地よい寒さを感じられる頃で、服装はみな長袖という時候です。こんな街の雰囲気を見ていると、未だに半袖で十分なバンコクとは明らかに違う気 候で、また、自分はどちらの気候が好きだろうという、この時期に香港や東京を訪れた時に感じる疑問が頭をもたげてきます。

結論から言うならば、僕はバンコクの気候の方があっていると言えます。肌寒い感じがなくなってしまってもう4年が経ちました。この地で暮らしていると季節 ごとの洋服は不要で年中半袖で十分です。だからチェンマイの洋服ダンスには冬服がいっぱい詰まっていますが、タイに移住して以来一度も袖を通さない物ばか りです。やはり、年中同じ服装では考え方までマンネリになり、怖いと思うのはそれが当たり前の感覚になってしまう事です。蟻とキリギリスの話ではありませ んが、寒い冬がこないタイはキリギリスのようで、それでいて、それほど人生を謳歌する事が出来ない、ちょっと窮屈なキリギリスという感じでしょうか。

人間はというよりは、日本人は季節の変わり目に敏感で、と、こう書くと、いや、イギリスでも季節感はあります、アメリカでも北の地方は何メートルも積もる 雪が降りますといわれ、季節感は何も日本の専売特許ではないのですが、ついこういってしまうのは日本人の繊細な神経が、ちょっとした季節の移ろいをとらえ て表現する繊細さの現れだと、自分では納得しているのですが、常夏の南国で生活していると、つい、ほかの季節感をわすれがちで、半袖、半ズボンでのメリー クリスマスが平気になってくる自分がちょっと恐ろしくなってきます。

そんな今の季節の香港に感じる事は、相変わらず人の多さと、車の洪水です。それに中国本土からの旅行者が多く、普通語が頻繁に使われ、街の様子も少し中国 化したかなと思えるほどです。特質すべきは大気汚染が一段と進んでしまった事。今回滞在中は例に漏れず連日ゴルフ漬けでしたが、ランタオでプレー中、何層 にも重なる山並みが霞んでちょっといい雰囲気だったので友人に「こういう薄霞のような風情が好きです」というと怪訝な顔をされ、これはすべて公害ですよと いましめられました。バンコクの大気もかなり汚染度が進んでいますが、ここまでの景色を作り出す事はありません。もっとも、バンコクはデルタ地帯に広がっ た街ですので、山並みを遠望できませんので、比べようがありませんが。

今回は長女の家に宿泊をしたのですが、これが結構いにしえを彷彿とさせる古い建物で、彼女はリフトのな い6階に住んでいます。毎日階段の上り下りは相当の体力を消耗するはずですが、考え方を変えればこれは結構良いエクササイズになっていると思います。こん な建物に住んでいると、香港の住宅事情の悪さを痛感(と、言ってもお金を出せば超高級フラットはありますが、それではなく老朽化したアパートの話)すると 言うか、文明が発達して今や6階の部屋に階段で上り下りする事の特異さ。しかし、昔はこんな建物が普通で、皆階段を上り下りしていたのはそう昔の話でもな いとすると、現代人は足腰が昔の人とは比べ物にならないくらい軟弱になってしまっているともいえ、運動不足の感は否めません。

僕はバンコクにでてきてから、ジムに通って足腰を鍛えています。その成果が今回発揮できました。と、いうのは娘の家にはマイクロウエーブオーブンがないの で、それではプレゼントしようという事になり、近くの大型家電チェーンにでかけましした。夜という事もあって(配達を頼むと翌日昼間になり娘は勤めがあっ て受け取れないので)自分で持って帰る事にしました。

家から家電店までは約1000メートルくらい。タクシーに乗るのはちょっと躊躇する距離です。香港のタクシーは至近距離は行きたがりません。仕方なくこの 距離を歩いて運ぶ事になりました。マイクロウエーブは白い箱のように見えますが、片側に機械が入っているようで、そちら側は結構重さを感じます。それより 難題は6階までの階段です。狭い上に折れ曲がった階段は足もと不確かです。

それでも疲れを知らずに一挙に運び上げました。やれやれと、一休み後、その日の夕食をこの電子レンジで作ろうという魂胆です。僕は最近電子レンジでの料理 にこっており、今回も香港でその腕をご披露しようと考えていました。そして娘の賞賛を浴びようと密かに考えていたのです。そのためにクッキングブックも持 参しました。

まず、簡単な所から「カボチャのチーズ焼き」から始めます。カボチャを1センチ厚に切り、ターンテーブルに皮の方を外に向け、オリーブオイルと粉チーズを ふり、ラップなしで3分。実に簡単料理ですが、カボチャのほのかな甘みが何ともいえない一品です。これはうまく行きました。しかし、次を作ろうとしたとこ ろ、電子レンジがうんともすんともいいません。

よくこんな時の対処方として、キャパシティーオーバーでブレーカーが落ちた事が考えられます。調べてみるとどこも異常はありません。これは大変と、また電 子レンジをカートンにいれ、販売店にクレームに行きました。これも6階分の階段を担いでです。このときの発見ですが、階段は上りより下りの方が数等大変。 しかも大きなカートンを抱えていますので、前がよく見えません。一段ずつ注意しておりました。

さすが、もう一度1000メートルを重いカートンを徒歩で運ぶに忍びなく、タクシーを捕まえました。ワンメーターの距離でしたが快く了解してくれました。 あいにく販売店には同機種の在庫はなく2日後に交換品を取りにくるようにとのこと、配達は先の理由で利用できません。おかげで思い電子レンジを抱えて一日 に2回も6階分の階段を上り下りする苦行を強いられはしませんでしたが、不思議な事にそれほど疲れを感じません。

普段のエクササイズの効果が変なところで実感できる結果となりました。考えようによると、娘も良いエクササイズを毎日している事になり、汚いフラットも見 方を変えれば、パリの古びたアパルトマンに暮らしていると思えば腹も経たないだろうと、物の見方、考え方も切り口を異にすれば価値観が逆転するという、発 想の転換の大切さを話して聞かせました。

肌寒さを感じる香港から帰ったバンコクは、35度の暑さの中にありました。




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