サ キさんのチェンマイ日記

                                        
 
    ↑たばこの大量陳列、これも禁止になりました                                

「禁酒法」



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9■ 23 January 2006


アルコール飲料の会社の株式上場問題が「禁酒法」に発展する勢いです。

タイを代表するウイスキー「メコン」や、ビールの新銘柄「ビアチャーン」でたちまちのうちにシェアーをのばした「タイ・ビバレッジ」社の証券市場への上場 問題は、昨年から物議をかもし出していました。特に仏教界が総力を挙げて反対し、昨年は証券取引所にデモをかけて、とうとう上場を断念させる力を発揮しま した。

どうも、タイではこの種の問題は先鋭化する傾向にあり、昨年はそのほかにも、日本車が遡上に上りました。ホンダのSUVが欠陥だと、マスコミ(新聞社やテ レビ局)を呼んで、ホンダのディエラー前でそのフロントグラスをたたき割るというパフオーマンスを演出、それをマスコミ各社が大々的に報道したものだか ら、それに便乗した輩が続々と出現、今度はトヨタが欠陥車だので、交換に最上級車レクサスを差し出せと言う、いささか理にかなわない要求などがでていて、 大衆をうならせました。

次に起こったのは消費者金融の金利問題です。この部門の金利規制は従来は有名無実で、金利は事実上の青天井だったのを、政府が規制を始め、昨年9月、上限 28パーセントと上限金利を設定しました。しかし、この規制はザル法で、従来の契約には1年以上の猶予期間が設けられました。早速、これにかみついたのが 従来からの借り入れ者。事実上消費者金融に2重金利が存在するのですから、騒ぎが見る間に広がりました。

政府の規制は、新規のみで従来のものは1年間の猶予期間を設けるという、かなり甘い規制だったので、従来の高金利を請求されていた者の怒りは簡単には収ま りません。新聞やテレビ局が盛んに取り上げ騒ぐものですから、たちまちのうちに悪者にされる会社が現れ、連日の攻撃に、金利を修正して旧来の契約者にも、 新しい金利28パーセントを適用するということで決着がつきました。かなりの損失を出したでしょうね。

いずれの騒動も、一般消費者の勝利で終わりました。どうもタイでは、マスコミも政治もいわゆる「弱者の味方」を売り物にし、それがタイの穏やかな世界を作 り上げている要因の一つの様です。政治もその伝で「大衆迎合型」とでも言いますか、とにかく、一般大衆を見方につけるが勝ちとばかりに、30バーツ医療 (診察代が1回30バーツという一種の保険制度)なども、財源問題がうんぬんされていますが、廃止の話は聞こえては来ません。これが、政権の人気の秘密で すが、圧倒的な強さを誇った現政権も、多少の力が落ちてきたようで、最近では新聞社オーナーが、反タクシンを掲げて反対大開を開き、多くの聴衆を集めてい ます。

アジアのラテン民族とも言われるタイの人たちは、根っからの陽気さのせいで、あまり問題を深刻に考えないのではないかと信じていましたが、この一連の運動 をみるとそうでもなく、結構日本人と同じで、「熱しやすく、さめやすい」気質が見え隠れします。これが種の大衆運動を盛り上げる原因になっているように思 えて仕方がありません。さて、今回の禁酒法、元はアルコール飲料会社の対証券取引所への上場問題でしたが、それが仏教界を中心に各宗教団体や社会運動家が 参加して、禁酒運動が盛り上がって来ているのです。

一昨年、青少年や、学生の飲酒・喫煙問題を国王がご下問されて以来、酒たばこ販売は規制の対象になり、今ではかなり徹底して実施されています。まず、アル コールの販売は、時間が規制され午前11時から午後2時、午後5時から24時までの間しか酒類が販売できなくなりました。レストランなどでも、この時間外 ではビールももめない事態も発生しています。これはアルコール愛用者の僕などにとってはかなり深刻な問題です。

たばこもそうです。広告は一切禁止になりましたが、知恵者はいるもので、それならばと、タバコの箱をカウンターに大量陳列をして、あたかも広告のように目 立たせる手法を編み出しました。色鮮やかなパッケージが大量に並べられると、それだけでかなりのインパクトがあり、一種の広告と見えないこともありませ ん。早速、市民団体が規制をかけるべきだとの、反対ののろしをあげ、裁判沙汰になりました。

しかし、禁煙運動は世界的な潮流で、この流れを止めるわけにはいきません。最近タイで販売されているたばこのパッケージには、恐ろしい限りで、たばこのヤ ニで真っ黒になった肺の写真や、子供と髑髏を組み合わせた物など、世界的にみてもかなり強烈な禁煙運動が行われており、それがますます尖鋭化する兆しがあ ります。

やり出したら徹底して最後まで追い込むのがタイ流とも言えますが、この運動には根底に貧困層の撲滅があり、禁煙者や、飲酒者は貧困層に多いというのが事実 です。

今回の禁酒運動はかなりの盛り上がりを見せており、バンコクの中心街、アメリカ大使館やイギリス大使館、それにただいま建築中の日本大使館があるウイッタ ユ通りの片側を通行止めにして、連日気勢を上げています。地方からかなりの数の人が動員されているようで、連なって止まっているバスにはトイレ完備、ベッ ドもあるようで、お得意の屋台も沢山出て、まるでお祭り騒ぎの様を呈しています。

タイの仏教は戒律がかなり厳しくて、生臭坊主はまず存在できません。仏門に入ると女性を正視してはならない、お金を持ってはならない、など、若い修行僧は かなりの克己心を要求されます。それだから、一般庶民の信仰も厚く、敬虔です。

一説によると、バンコク首都圏の人口の一割は僧侶という統計もあります。それが、時には自分たちの論理を根拠に、大衆をあおっている場面がないかという と、そうでないとは一概に言えません。僧侶は禁酒が厳しく戒められていますが、喫煙は禁止されていません。その昔、おおぴらにタバコを吸っている僧侶を目 撃した事があります。今は、だんだんと禁煙の方向に進んでいますが、これは一体どのような根拠にもとづくのか、ちょっと興味がわいてきます。確かオークパ ンサの贈り物の中に、タバコとマッチが入っているのを目撃した事があります。

この辺りは、どれが悪で、どれが善であるかという境界がかなり曖昧もことしているようにも見えます。それは僕が異邦人であるからかも知れませんが・・・

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