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「香港 2005」
■369■ 3月22日
(Mふうに・・)
二階にある、知人のフラットの窓から、外の景色を眺めると、それは冬の景色そのもので、今年は気候が変ですという知人の言葉そのままに、なんだか肌寒い
気温と共に、記憶にある春先の香港とは一寸、趣がちがう。
空を見上げようと思うのだが、ハッピーバレーに近い崖の下にあるこのフラットの小さなベランダからは、空を見上げることは不可能だ。窓の向かいは、さら
に高地に面した斜面で、ここに低木の木が密集してあり、それが、今の季節でもちゃんと葉をつけており、なんだか元気がない薄茶色をしている。
落ち葉になって全ての葉がなくなり、裸木になる時期があれば、香港も今が冬と言い切れるのだが、ここでは、木々はいつまでも黄色い葉をつけており、その
うち若葉が芽を吹き、一端そうなると、4,5日で木々は若葉をつけ、去年の黄色い葉は、その若葉の中で生き続け、いつとわなしに、散っていくという、実に
季節感のはっきりしない様子をしめす。知人は若葉の頃が一番すてきですと言うが、窓一杯に若葉がむせかえっているのは、想像しただけでも、気分が高揚し
る。もうすぐその時期がやってきますと、一寸応援したくなる窓からの景色。
高層フラットに囲まれた、中庭のような位置にあるスイミングプールは、水色のネットで覆われ、これにところどころ、枯れ葉がからみついており、ここもや
はり冬の季節である。
一年中プールに転落防止用のネットが張られることのないバンコクから、三月中旬の香港に来ると、季節の違いがはっきりとして、同じく東南アジアに分類され
る地域でも、こんなに街の趣が違うのは、しかし今の季節だけのようだ。
今回は三年ぶりの香港。三年前は東京からの帰りに立ち寄ったのだが、一ヶ月ぐらい遅い時期だったので、春爛漫の東京と、あまりに違う香港冬のようなの季
節感に驚いた記憶がある。四月初旬の東京は、花の季節で、滞在先の娘のマンションの近くの公園や、旧都電道を利用して保存された花のトンネルは見事な桜
で、連日人出が絶えなかったのに、それが二週間もすると、桜の花はあっという間に散ってしまって、見事な葉桜のトンネルに変身するのだから、そしてそれが
一年の間に四回も季節を変えるのだから、東京の景色の変化は、香港やバンコクのそれと、速度が違いすぎるのではないかと、ぼんやりと考えたりして、飛行機
では数時間の距離だのに、どうしてこう、変化の度合いが違うのか不思議で仕方がない。
きっと、飛行機などという文明の利器が発達して、それがだんだんとスピードアップするものだから、人間の思考がそれに追いついていないのが、この種の不
思議さを感じさせるのであって、自然はそんなに急いではいませんよと言う思考なのかもしれない。
20年余住んだといえども、生活の些細なデェテーイルは薄れてきてしまうもので、そうするとなんだか記憶の中にある香港が本当の香港で、今現実に存在し
ている香港は、何か少し、魅力が薄れてしまった香港のように感じられ、虚実皮膜の間をさまよっているような週末の午前の遅い時間。
この時期の香港は、ホテルの予約が出来ず、普段だったらフルチョイスのエアーアンドホテルのチケットも取れず、幸い親切に連絡をくれた知人の家にお世話
になっているのだが、香港セブンズという、七人制のラグビーの試合があり、世界各国から集まったサッカーで言うフーリガン、ラグビーでは何というのか、そ
んな熱心なファンが街にあふれ、昼間からアルコールの力を借りて異常なテンションで、トラムロードなどを、二人、四人という感じの小グループで歩き回って
いるのを目撃すると、よくもあそこまでハイテンションになれるものだと、一寸あきれてしまう。
ラグビーファンは人種がちがうのか、それに、皆、見事に太っている御仁が多いのは、食い物の違いなのか、骨格が元々違うのかは不明だが、かなりのファン
が、フランス語を話しているところを見れば、ラグビーはフランス語圏で盛んなスポーツだったかと、疑問が頭をもたげたりしてくる。いやラグビーは英国が発
祥の地で、サッカーの試合中、ボールを抱えて走った選手がいて、それがラグビーになったのだかな、いやラグビーの方が先に生まれたスポーツで、その試合の
中で、ボールを蹴って前に走ったのが起源だったかな、なんだか少し混乱してくる思考だが、七人制ラグビーは、確か香港で発祥したスポーツで、だから毎年世
界大会が開かれるのだと記憶している。
知人の、ラグビー好きの一家はすでにニュージーランドに移住してしまって、簡単に電話でこんがらかった思考回路を解きほぐす手段もなく、そうだ、イン
ターネットがあると気が付くのだが、旅の途中では、それもままならず、この問題はバンコクに帰り着いた後調べてみることにしようなどと考えていたのだが、
すっかり忘れてしまってまだ解決しない疑問として頭の隅でくすぶっている。(つづく)
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