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「おにぎり」
■364■ 2月19日
毎日昼食に行くのは、会社の近くのロビンソンデパートの地下です。
ここには、タイやシンガポールによくある屋台料理を集めた食堂街がありますが、それを横目に最近通っているのは、香港麺を食べさせる「キッチンヌード
ル」と、タイ・ベトナム料理の店「バナナリーフ」です。
アジアの中華圏は麺の文化で共通していますが、微妙な違いがあって、興味津々です。
まず、香港麺。ここの勝負はスープの味ともいえ、鶏ガラを主にしたスープが特徴です。ワンタン麺などはその代表ですが、焼きめしにつてくるスープも同じ
物で、さらりとした薄茶色のスープはあっさりとしていて口当たりが抜群です。
一般にアジアの国で味わうつゆ麺は、麺主体であまり具がありません。香港で初めてカルチャーショックを受けたのはこのワンタン麺で、小振りのどんぶりに
細めの麺が一杯です。
その上に申し訳程度に白ニラが乗っかっているだけで、スープもワンタンの姿も見えません。それらはそこの方に少しあるだけで、見ためは細麺の山という姿を
しています。
ワンタンは、探さなければ見つからないくらいの少量小振りが、麺の底深く隠れています。麺がこんなに多いと、スープとうまく混ざらないのではと、食べる
前からちょっと心配になりますが、それは全くの危惧、底の方から「エイや」てな具合に、麺を持ち上げると、底にたまったスープとかすかに混じり合って、粉
臭さもなく、実に美味です。日本で食べるそれは、麺がつゆの中で泳いでいる感がありますが、香港のワンタン麺は実に麺たっぷりです。
ところ変わってバンコクのワンタン麺。こちらは高菜の緑も鮮やかに、つゆ、麺、野菜の具合が日本のそれとよく似ています。
この店でよく食する物に、ピータン入りのおかゆがあります。
これも香港流は米粒が全く姿を消してしまうくらい煮込んだ、のり状になった物のなかに、ピータンとショウガのみじん切りが入っています。これも香港で初め
て食した時、なんだか「のり」を食べているようで、味気なかったのですが、これにたっぷり胡椒をふりかけてレンゲで食べると、香港と全く同じ食感です。飲
茶のワゴンなども回ってきて、ここはそのまま小香港です。
タイは潮州出身の中国人が作り上げた街ですので、潮州流中華が沢山あります。ここのおかゆは、日本のおかゆと共通点があり、米粒がしっかりと形を保って
います。水分も多く、
おかゆをかっ込むことも可能です。名を「カートム」といい、
小腹が空いたときや、夜食などに常食します。その昔仕入れた話では、夜分恋人を誘い出す手だてとして「カートムを食べに行こう」と誘い手があるということ
です。
このさらさらのおかゆにケムプラー〔塩魚〕など添えて食します。確かに小腹の足しになる感じで、これは京都の名高い「ぶぶずけ」に通ずるところがありま
す。
隣はタイ・ベトナム料理の『キッチンヌードル』です。ここで面白い物を発見しました。鳥の唐揚げについってくる『おにぎり』です。タイ北部地方で出す、
竹で編んだ小さな籠に入っている姿はまさしく焼きおにぎりそのものです。形は小振りですが、こんがりとした焼き焦げまでが食欲をそそります。
しかし、一口噛んでその違いが分かります。おにぎりの材料は餅米です。それニョクナムをつけ、なにやらココナツの香りもします。少し甘さも感じられ、日
本のそれとは明らかに違う、しかし、形は小振りのおにぎりそのものです。米のあるところ、おにぎり文化は共通項とは思いますが、タイで一般的に食べるタイ
米は、粘りがなく、おにぎりには向かないようです。
タイでとれる餅米はかなり良品質で、それに目をつけている
日本人がいると聞きますが、一般的には腹持ちのしないタイ米が主食です。餅米はどちらかというと北部、東北部地方で常食されており、バンコクの人たちは、
あれは百姓の食べ物だとさげすんでいるようです。
ベトナムにも麺はあります。ムーヨウ(豚のソーセージ)、鶏、エビ、牛肉など、種類も豊富です。しかし、ここのスープの味には酢の風味が色濃く、一風変
わっています。それと、山のようにハーブを添えて供されます。タイではハーブはつゆに混じっているだけで、実にあっさりとしていますが、ベトナム料理で
は、山盛りのハーブが付いてくるので、香菜好きにはたまりません。
麺は広めの米麺です。タイでいうクイッティオです。
東南アジアでの醤油は魚醤、ベトナムデハ「ニュクナム」
タイでは「ナンプラー」、秋田県では「しょっつる」と呼びます。ところ変われば、麺も、おにぎりも、醤油も、三者三様、興味が尽きません。
タイ、ベトナム、中国、いろいろな国の味を楽しめるバンコクでの昼食。これで大満腹です。
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