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「ハードに」
■342■ 02 October 2004
今のアパートには本格的なジムか併設されているので、いい機会だとフィットネスをはじめることにしまし‘た。
サキさんは今までこの種の運動をした経験がありません。あそこまでして体を鍛えても病気になる時は一緒、とタカを食っていました。せっかくアパートにある
のだからと、友人に勧められて始めるとこにしましたが、まず、そのためのスニーカーを買わなくてはならなりません。友人のすすめでは、安物を買うと足をい
ためてしまう可能性があるので、最低でも1万円相当のものが良いとのことだ。単にベルトを走ったり、ウエートを持ち上げたり、屈伸をしたり、という単単は
運動に、そこまで高価な運動靴と思ったが、その訳はすぐに判明しました。
早足を30分も続けていると、足元がおぼつかなくなって、ふらついてきます。普段の運動不足がたたっているのですが、この状態をしっかり支えてくれるの
は、スニーカーのほかには何もありません。弱り切った足腰は、30分の早足ウオークにも耐えられなくなってしまっているこの現実。唯一の味方はスニーカー
で、己のおぼつかない足と、無情にもいつまでも回り続けるベルトとの接点を力強く支えてくれます。
インストラクターの失笑をかうくらい、運動能力は低下してしまっていました。腹筋運動など、一度も体を起こすことが出来ずじまい。インストラクターに介添
えをしてもらってワンセット(10回)を息も絶え絶えに終える始末。しかし、時間はたっぷりとある独居生活、これから励んで、このジムにある器具すべてを
軽々とこなす体になりたいものだと夢だけが先走りをしています。
しかし、運動や、物事はやってみると今まで想像もしなかったおもしろさを発見するものです。香港時代にやっていたテニスもそうです。最初は痛風治療の一環
として、医者に勧められたのが発端。日本がバブル経済に踊っていた時分の香港は、毎週末、日本からのお客が押し寄せ、その接待でてんてこ舞いの忙しさでし
た。時には3組ものお客が重なって、思案のあげく、同じレストランに3席予約をし、自分は席から席へ移動して接待するという有様。
日本からのお客は、香港、すなわちおいしい中華料理と、お世話するこちらからするとワンパターンの要望です。たまにはイタリアン、ステーキなどというリク
エストがでるのを期待していますが、いつもご要望はおいしい中華。こちらはいささか食傷気味ですが、連日中華料理という有様。出される料理もお客には「こ
のレストランの味は香港一です」、などと勧めていても、自分が箸を付けないのでは、ウソになってしまうので、あちらのテーブル、こちらのテーブルで箸をす
すめる結果、2人前は完全に胃の中に収まったという勘定。こんな生活を5年も続けていると、栄養過多で痛風を患ってしまうのは必定、日本のバブルが10年
近く続いたのですから、体の方が参ってしまい、医者のお世話に相成った次第。だから、香港駐在者には痛風を患っているご同輩が多く、「痛風友の会」を結成
したくらいだ。
そのときのダイエット・コントロール・コンサルタントの医者がちょっとユニーク。
相談日には「奥さん同伴で来てください」、とのたまう。10数種類のティスプーン
の束を、まるでマジシャンのように扱って、何はこのスプーン、かにはこの量と説明
する姿はまさに手品師。話し終わって「どうして家人同伴か」と、問いただしたとこ
ろ、「奥さんが太っている家族のダイエットコントロールは至難の業だ」ということ
です。
なるほど、これは経験則からきた医者の真実だと感心させられました。
痛風は、定期的に発作が押し寄せてきて激痛がはしる。その痛さといったら、経験し
てみないと想像すらできないものです。治療といっても、薬を飲んで、じっと痛みが
去るのを待っているだけです。注射という奥の手はありますが、これは最終的処置で、
あまり頻繁に続けると、シリアスになった時の処置がなくなるので、我慢出来るので
あれば遅効性ではあるが、薬を飲むのが良策といわれ続けまました。それと、汗をか
く運動をしなさい、痛風は体のサーキュレーション(新陳代謝)が悪くなって、血液
中に尿酸の血漿がたまるために起こる病気だと、懇切に教えてくれました。
一念発起してはじめました、テニスを。ペットボトルの水を一本飲み干すのが1回の
ノルマです。本格的にはじめるに当たり、プロのコーチを付けることにしました。い
い機会だからと家族全員ではじめたテニスですが、一人抜け、二人抜けで、3ヶ月も
するとサキ一人になってしまいました。このテニス、はじめのうちは10分もラリー
を繰り返していると、息が上がってしまいます。休息をこまめにとって辛抱強く続け
た結果、3.4ヶ月後に1時間ぶっ続けでも息が上がらなくなりますから、人間の体
は鍛えれば鍛えただけの力を発揮してくれるものだということを、このとき思い知ら
されました。香港の炎天下でも平気で、ペットボトル1本も軽々飲み干せ、滝のよう
な汗をかきました。運動後のシャワーが快感に変わりました。
飲酒癖もそうで、このダイエットコントロールのメニューの中に飲酒厳禁の項目もあ
りましたので、この際とストイックに守ることにしました。効果覿面、4週間もする
と体重が減りだし、8ヶ月の間に体重が実に10キロ減を達成したのには、驚きを通
り越して心底感激すらしました。だけれども、禁酒中は寒さを覚え厚着をするように
なったのは体の不思議です。折角減った体重も、再び飲酒をはじめると三週間で元に
戻り出しますから、人間の体の不思議は奥深いでものです。
折角の禁酒でしたが、8ヶ月目に「ここまで来れば少しのくらいの酒は飲んでもいい」
と、医者の許可が出たとき、それとばかりに飲んだ薄い水割り、「命の水」とたたえ
られる酒の奥義が理解できた瞬間です。この時の味は、まさに美酒、いつでも鮮明に
思い出すことが出来ます。もう一度美酒を味わうには、長期の禁酒を敢行すれば、再
び我が舌に、のどに戻ってくるのでしょうが、そこは、生来の意志の弱さ、未だに美
酒の再来とは相成りません。
のど元過ぎれば・・・のたとえのごとく、薬を常用しているためか、その後、痛風の
襲来を受けないのをいいことに、テニスは4年目にはいって興味喪失、それから運動
といえばゴルフを続けているだけであす。このゴルフ、家人にいわせれば「あれはス
ポーツとは呼べない、運動量はたいしたことはない、だのに万人を驚喜雀躍させるの
は、あれは心理戦をやっているからだ」、とのたまう。確かにプレッシャーがかかっ
たショートパットなど、どうしてと、信じられないくらい入らないときがあります。
ゴルフは技術を云々する前に、精神修養が必要のゲームのようです。
体を全く動かさい車の生活を続けた結果、動能力ゼロということになってしまってる
ようです。その体に何年ぶりかで鞭を入れようという今回、効果が出てくるのは3ヶ
月後だという話を信じ、週2回汗を流しています。
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