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「メトロの思い出」
■327■
7月5日
7月3日(土)、バンコクに地下鉄が走り出しました。
時を同じくして我が街チェンマイにも地下鉄5路線、40キロの建設が発表されました。観光都市チェンマイを名乗るにしてはお粗末な公共交通の不便もこれ
で解消される事必至で明るい話題です。
チェンマイの公共交通だけではなく、首都バンコクのそれも、ほかの国の大都市に比べて完備されているとはとてもいえないのが現状です。高速道路網はかな
りの広がりを見せてはいますが、一般道路が慢性的な渋滞ですので、例えば飛行場から市内に入る場合も、快適に市内に近づいている段階では、この先に大渋滞
が待ち受けているとはとても考えられない位快適なスピードでタクシーは走って行きますが、一般道路におりる下り部分から混みだし、そうすると今まで快適な
ドライブだった事をきれいさっぱり忘れ去って、バンコクの交通事情は旧態然としている、全く為政者は何を考えているのだろう、などとあらぬ方向に不満のは
け口を求めだし、一体この交通渋滞でいくらぐらいの経済的損失被るのだろうかと、真剣に考えたりします。
サキさんがバンコクに生活体験を持ったのは1962年24歳の時でした。その頃のバンコクは車の量は少なく、最夏期でもウインドーをおろせば清々しい風
が入ってきて、車のエアコンなどつける必要もありありませんでした。スクンビット通りなどは、鉄道線路を超えると高い建物はなく、緑がふんだんにあふれる
住宅街でした。もちろん道路はガラガラ、渋滞などどこにも見当たりませんでした。庶民の移動手段はバスが主で、かなり古いバスが走っていました。一番目に
ついたのは、白い車体に赤い丸の中に十字のマークのバスだった事を今でも覚えています。タクシーにはメーターなどなく、行き場所を伝えてその都度料金を交
渉してから乗り込むという実にノンビリしたものでした。タクシーの車両もかなり古い日本の中古車で、ボデーに○○タクシーなどと日本語が書いたままのもの
が平気で走っていました。このスクンビット道り、道幅が広くてだだっ広い印象がありました。
現在ではこの道路の上に高架鉄道BTSが走っており、空は塞がれ、鉄道の橋脚が道路中央を占拠していますので、以前のような道路の広さは感じられず、増
え続ける車の洪水で慢性的な渋滞を見せています。当時の道路事情といえば、市内からドンムアング飛行場へ通じる道路が拡幅工事中でした。工事があまりに進
まないので、巷では時の首相タノム一派が道路建設用のコンクリートを食ってしまったとか、副首相のプラパートが砂利を食ったとか、世間の噂がかまびすし
かったことを思い出す、そんなのんびりさでした。革命でいったん祖国を追われたこのタノム元首相、その後慈悲あふれる国民に許され、つい最近90歳を超え
る天寿を全うしたとういうニュースを読むにつけても時の流れを感じさせます。
2回目にバンコク生活をしたのは1979年の一年。このときは家族一緒で、スクンビットのソイ59に住みました。この頃でも交通渋滞はそんなに激しくは
なく、家人は近くの買い物などは日傘をさして、歩きですませていましたので、空気汚染も臭うほどの悪さにはなっていませんでした。スクンビットの奥にはま
だ高層ビルがなく、唯一、チョクチャイビルが30何階建てかの異様を誇っていました。このビルは自家の牧場を持っており、牛乳とステーキが売り物で、我が
家の記念日にはこの最上階のステーキハウスに出かけ、窓の外に広がるバンコクの街を眺めるに、まだ緑濃い街と言う印象を受け、なんだかほっとする心地を味
わった事を覚えています。その頃にスクンビット道りに時間限定一方通行が導入されましたので、現在の交通渋滞の予兆のようなものがあったようです。
その後1979年末、香港に移動しました。ここでも翌年2月九龍と香港島を結んで地下鉄が開通したことを思い出しますし、今回もまたまた単身赴任をし
て、バンコクで仕事を再開する事になる節目に地下鉄が開通と、なんだか生活の場を移すごとに地下鉄の話題があって因縁めいたものを感じています。今月後半
には早速乗ってみたいと考えています。
最近発表されたナショナルジオグラフィックのツーリスト調査では、プーケットやチェンマイのタイが観光客に飽きられてきているという記事が出ていまし
た。観光立国を目指すタイにとっては由々しき問題です。
つまり
―観光産業が育成されていない。
―公共交通が発達しておらず、自由に歩きまわれない。
―英語教育が徹底しておらず、意思疎通に困る場面がある。
―環境問題に真剣に取り組んでいない。
と、いうのが主な理由です。
確かにタクシーの数が圧倒的に少なく(現在3台と聞きます)、バスでの団体行動では個人で歩き回りたい欧米系観光客には不好評でしょう。言葉の問題もあ
りますが、これは異国情緒を感じるのには最適ですので、そんなに英語が通じるようにならなくても問題はないと考えますが。先月ランパンで開かれた移動閣議
で、「北部大都市圏構想」が決定されました。チェンマイ、ランプーンを貿易・投資・観光の中心とし、バンコクと並ぶ大都市に変身させる大ウロジェクトで
す。
タクシン首相はチェンマイ出身の首相です。それと関係はないとは思いますがこのところチェンマイでは道路工事が至るところでおこなわれていて、あちこち
が掘り返されています。工事の進め方は乱暴そのもので、砂塵がまってチェンマイの空気汚染の元凶になっています。工事現場の近くの店舗や住宅などは被害甚
大ですが、クレームをする様子もありません。それよりインフラがよくなる事に期待をし、しばらくじっと我慢をしているように見えます。
立体交差の工事を初め、政府の政策に敏感に反応して、ホテル建築もかなりの件数に上ります。飛行は北部タイのハブにすべく、滑走路の延長工事が発表され
ました。既に国際線到着ターミナルは工事が始まっています。その他、ナイトサファリ、花博など大型計画が目白押しです。首相の出身地が急速に発展するのは
かの国の田中角栄の例に漏れず、チェンマイもこれから急速に発展することと思われます。あまり急速な変化は素朴な田舎街の雰囲気をそいでしまいそうで、さ
りとて不便をかこつのもという二律背反に思いが複雑なのが今のチェンマイです。
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