|
|

「蝶の乱舞」
■324■ 6月11日
蝶の乱舞を見ました。
このところ雨期に入って気温が少し下がって、湿気も出てきた気候条件がいいのか、ゴルフ場に蝶が多数舞っています。それも日本で言うモンシロチョウの白
や、黒アゲハの黒、黄色のモンキチョウ、茶色のイチモンジセセリ、小さなヤマトセセリなど、日本でもお馴染みの色とりどりがフェアーウエーを群れになって
飛んでいます。姿、形も日本のそれとそっくりな蝶が飛んでいる姿は、春爛漫という風情ですが、ここは季節が夏期から雨期に変わり目のチェンマイです。
季節は確実に変化しており、4月、5月の最夏期に見られる花々の咲き乱れる様は今はなく、どうしてこんな時期に蝶が異常に発生するのかと疑問をもって見
渡せば、これから花をつける木もあり、ゴルフ場ではボトルブラッシュがそうで、若葉を茂らせた大木に真っ赤な房を沢山ぶら下げています。これからがこの花
の盛りで、7、8メートルにもなる大木が真っ赤に染まっていることを目撃したりします。よく見ると乱舞している蝶たちはこの花の蜜を吸っているようです。
蝶の乱舞はフェアウエーに沿って飛び交っています。大きな木にセパレートされたフェアウエーは風がコースにそって吹き抜けるようで、その風に乗って色とり
どりの蝶の集団が飛びすぎていきます。一羽の蝶のおしりを追っかけるように別の一羽が、それをまた別の蝶が追っかけるという具合で、高く低く同じ色の蝶の
軍団が飛び去ると、続いて別の色の一団が続くと言う感じで、切れ目がありません。
近づいてよく観察しようとするのですが、カメラを向けるとすぐに飛び立ってしまいます。なんだか密を吸っている間だけは羽を休めて「ひとひらの蝶」とい
う感じでおとなしくしていますが、この時間が非常に短くて、すぐに近くの別の花に移ります。羽の色がきれいで、飛ぶ姿が優雅なだけに、なんだか着飾った貴
婦人の浮気心を見る感じがしてちょっとはかなくなったりします。
それに比べて、同じくこのところ野原を飛び回っているのにトンボがあります。こちらは蝶に比べるとずっと落ち着きが感じられて、進入禁止の細いロープに
等間隔で止まっていたりします。こちらは近づいてもすぐに飛びたつことはないのですが、よく観察すると大きな複眼をきょろきょろさせて、近づく人間に警戒
心を怠ってはいません。でも、そんなにチョロチョロと止まる場所を変えないで羽を広げたまま止まっている姿は、遠目には落ち着いた貫禄すら感じさせ、これ
は熟年の男性という感じがします。
物の本によりますと蝶は種類によって年に4回も成虫になるものがあると言いますが、それでもきれいな羽をもって空中を飛び回っている時間はそんなに長く
はなく、せいぜい一ヶ月もなく、一生の大半は卵や幼虫、さなぎで過ごすということですので、こんなにきれいな羽を持っていてもその命は非常に短いと分かる
と優雅さよりも哀れさをもよおしてきます。チェンマイ生活も4年目になりましたが、こんなにたくさんの蝶を見たのは初めてです。気候条件がちょうど良く
なったのではと考えます。最近仕入れた知識によりますと、蝉の仲間で17年ごとに異常発生する種類があるそうです。今年はその年に当たり、アメリカ東海岸
では蝉の鳴き声がうるさいくらいだと言うことです。その蝉が発生する年は世界的な政治の大問題が発生しているという話は、なんだか大自然と人間の営みが目
に見えない糸で繋がれているような感じがして興味を津々とさせます。
今の時期に蝶やトンボが大発生するのは、気候条件が整ったと考えられますが、日本では春や秋に発生するものが同時期に見られるのはチェンマイの気候の特
異さにあると考えられます。というのは4月、5月は一年でも一番あつい盛りで、だから学校はこの時期夏休みになります。生き物も成長するのは暑すぎる感じ
ですが、なぜかチェンマイではこの時期が花の盛りです。色とりどりの花が咲き乱れて、花の密を吸う蝶やミツバチなどの姿を目撃してもいいのですが、その姿
はありません。やはりこの時期の高温はこの種の昆虫にも過酷だと考えられます。人間も同じでこの時期は皆げんなりとしており、こんな気象条件の元に生まれ
たタイ人は暑さにも慣れているとおもうと実はそうでなく、暑さが大嫌いだという話もうなずけることです。春秋の心地よい気候を知っている日本人の中にはこ
の時期自分の出身地に帰郷する人も沢山います。
暑さが和らいで雨期に入った今、蝶やトンボが乱舞する、と、言うことは今の季節がチェンマイの一番しのぎやすい季節といえます。
雨は降りますが短時間で上がり、適度な湿気が気分を和らげます。曇天の空からは強烈な太陽が顔を覗かせる時間が短く、焼け付くような気温になることはあ
りません。今年の最夏季は東京に避難していましたが、こちらに残っていた人の表現では「脳が溶けてしまう」ほどの暑さだったということですので、これはサ
キさんが移住をはじめた年と同じだと思われます。こちらの青年が20年ぶりの高温だと音を上げていましたし、時ならぬ雹などが降ったりして、それをグラス
に受けて水割りとしゃれ込んでいるサキさんをみて、降雹は25年ぶりだと言っていたのを思い出しますが、それから比べると今年の雨期はそんなにも大雨も降
らずに、今のところ快適といえます。
それでも街の東を流れるビン川は水嵩がまし、赤茶けたかなりの速さの水流を見せていますので、上流では相当の雨が降ったと見えます。もっとも雨が降る時
期と、全く雨が降らない時期がはっきりしている当地では、今の時期降雨がないと大変なことになって農作物などに被害をもたらします。前庭の水道はポンプで
圧力をかけていませんので、水不足になると急に水圧が下がって十分な水をまくことが出来なくなってしまいます。ことしは最夏季に不在でしたので芝生は所々
赤茶けてしまって、思い切って植え替えました。この芝生、花市場などでは山積みして売っています。大型トラックに満載の芝生が短時間のうちに売り切れるの
は、この時期が芝生などを植えるのに最適な気候だと言うことが分かります。日向の風通しの良い場所にはベントを、日が当たらない場所にはマレーシア芝とい
うように植える場所に適した芝を選びます。こちらでは日本のように亀甲模様に植え、芝生の成長を待ち、きれいな一面の芝生に育てるような手間暇はかけませ
ん。びっしりと隙間なく植え込んでせっせと刈り込みます。
芝も学習能力があるとみえ、根が付いた当初は上に伸びようとします。それをこまめに刈り込むことで、これは上に伸びても仕方がないと諦めて、今度は横に
新芽をのばします。そうすると気温が高い当地ではぐんぐんと新芽の芝生が広がり出します。一面の浅緑の芝生を出現させるのはそう難しくはありません。当地
ではいかにこまめに刈るかというのが勝負で、ほーっておけばすぐ牧場のように一面の緑に育つ芝は、気候のなせる技です。だから手入れと言っても手間いらず
で、香港のようにゴルフ場のフェアウエーが農薬のにおいでいっぱいという場面に出会ったことがありません。それがゴルフ天国を出現させ、世界中からゴル
ファーを呼び込んでいます。あれほど沢山いた韓国人ゴルファー姿も今はなく、広々としたフエァウエーは閑散としていて雨さえ降らなければ今がゴルフのベス
トシーズンといえます。そんな情報のもと来週はバンコクから、香港から旧友のゴルフ仲間がチェンマイに集まります。
蝶を見て春を思い、トンボをみて秋を想像するのはサキさんのDNAに刷り込まれた日本人の季節感。それが混在している今の季節のチェンマイ。ちょっと不
思議な景色を見るようですが、そんな異常さが実に自然に受け取れる、暑さが遠のき、ちょっとほっとするのどかさの戻ってきた今日この頃のチェンマイです。
チェン
マイの蝶
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|