サ キさんのチェンマイ日記

                                        

↑今回の卒業生、実に国際的


「タイ古式マッサージ」


  ■284■  
  10 月28日 2003
       
 家人が「タイ古式マッサージ」を修得しました。彼女は日本式のマサージも免許皆伝ですので、これで2種のマッサージをよくすることになります。今回か 通った学校は「SHIVAGAKOMARPAJ」
(OLD MEDICINE HOSPITAL) というマッサージスクールですが、チェンマイにはその他3カ所ぐらい有名な学校があるようです。授業は2週間、朝9時から午後4時までと、かなりハードな スケジュールに驚きました。サキさんはもっぱら「アッシー君」をつとめましたので受講生の顔を覚えました。驚いたことに外国からの受講者がかなり混じって います。

 現在、チェンマイは旅行のローシーズンということで、外国人の旅行者は比較的少ないとのことですが、それでも35人のクラスで20人が外国人でタイ人よ り数が勝っています。これが11月からのハイシーズンには総勢50名くらいのクラスも出現するということで、外国人がいかに興味を持っているかの現れでも あります。授業は英語とタイ語で行われますが、実技や試験は同じ教室で行うので、タイ人と外国人の勉強の仕方の差がハッキリして非常におもしろかったとは 家人の感想です。外国人は結構まじめで、授業中の私語などもありません。それに比べてタイ人は私語どころか、携帯電話のスイッチは入れっぱなしで、授業中 でもかかってくる電話にはいちいち応えています。別段不真面目だということでもなさそうですが、タイ人はこんなハードな勉強は苦手と見ました。さすが試験 の時は外国人からクレームが出て、携帯電話は使わなくなりました。この学校は宿題も出て、かなりハードワークだったようです。

 日本人は4人、そのうち国内からの受講者は3人です。すべて、現在東京でタイマッサージを仕事にしている人で、今回は、ブラッシュアップのために、2週 間チェンマイに滞在して勉強しているとのことです。聞くところによると日本ではタイマッサージがちょっとしたブームのようです。長引く不況に将来が見えな い現状では、この種の癒し系のものがもてはやされる傾向にあるようです。タイと同じくスパーや、アロマセラピーなども大流行りだと聞きます。

 サキさんも来タイ以来、機会を見つけてはマッサージに通っていますが、家人が取得したマッサージと今まで街で受けていたそれとのあまりの違いに驚いてい ます。今回家人が勉強してきたマッサージは手触りが実に優しく痛さはほとんどありません。マッサージは本来痛くしてはいけないようです。

 タイ古式マッサージはその起源をインドに発します。古くお釈迦様を取り巻く高僧の中にマッサージをよくする人がおり、その人が仏教の教えと同時に広めた とのことで、その歴史は仏教の興隆と時を同じくしています。「タイ古式マッサージ」は仏教伝来と同時にタイにもたらされたとのことですので、2500年以 上の歴史があることになります。しかし、古代のタイの内乱で、すべての文献が失われ、長い間、次代に伝授する方法で今に伝えられていたとのことです。それ が10年くらい前にバンコクの「ワット・ポー」で古式マッサージに関する書物が偶然発見され、集大成されたとのことです。これで分かるようにタイマッサー ジは仏教と強い関係の中で発展してきた伝承の施療技術です。

「タイ古式マッサージ」はメディテーション(瞑想)を第一にします。体をストレッチすることで、気持ちよくする施術で、もちろん病気の治療として、施術さ れることもあります。この学校にも「北部タイメディカルセンター」が併設されていて、そこではハーブボールが行われています。タイは取れるバーブの種類が 多く、それが現在のスパーブームを呼んでいます。

 確かに体を触ってもらうと気持ちがよく、心もいやされますが、あれも一種のメディテーションという訳です。だから、街でよく出くわす激痛を催すような マッサージは邪道とのことです。あれは観光地タイにあって、筋をきつくもむことによってマッサージの効果をより感じさせる一つ技術だということですが、過 剰は時には弊害をもたらします。きつくもまれることでなんだか非常によく効いた感じがするものですが、「もみ戻し」がきたりして逆効果になることがありま す。正式なタイマッサージはその反対、実に柔らかく忘我の境地に誘い込んでくれるものです。忘我の境地はあたかも「極楽の到来」に似たものがあります。タ イマッサージの神髄は、ストレッチと指圧でリンパの流れをよくし、筋肉をほぐして病気の予防と治療を目的とします。

 外国人はちょっと違う受け取り方をしているようで、タイマッサージに抱いているイメージは、ヨガの影響が強いようで、ストレッチと瞑想が目的のようで す。マッサージを施術する人と、受ける人が一体になって効果を得るようで、お互いがマッサージの心得があると効果は双方に及ぶと考えています。寝っぱなし の人はそれだけで効果をエンジョイ出来、その辺を称して「怠け者のヨガ」というのだそうです。実に言い得て妙だと感心しました。

 施療者は体全体を使うのでかなりのハードさで、汗を垂らして奮闘します。そんなところから街のマッサージパラーなどではエアコンを最高に効かせているの で、うっかりすると風邪を引いてしまうことがあります。あれはお客用に寒くしているのではなく、あくまで施療者のための冷房です。お気をつけください。

 タイ人の間では、この種の学校を卒業した人か先生となって未経験者に教えることもかなりあるということで、技術がちょっと亜流になっているのかも知れま せん。受講料などを節約するのが目的のようです。こんな人に当たるとマッサージの効果があるのかどうかとちょっと首をかしげたくなりますが、地方ではそう して気持ちよく忘我の境地に浸ることが、すなわちお釈迦様の尊い教えに接することにもなるようです。

 日本では仏教とマッサージの相関関係はもはや見えなくなってしまっていますが、この学校ではその辺は強い結びつきがあって、毎日始業に唱える「お経」 は、サンスクリット語だということです。学校の校内にはお堂があって、そこに仏像が祭ってあり、その顔はどう見てもインド人そのものです。

 インドでは既に廃れてしまった仏教が、タイでは現在も隆盛を極めています。「今ではタイが仏教の世界中のセンター」だとタイ人が自慢するゆえんです。

さて、今夜も家人の「タイ古式マッサージ」で忘我の境地をさまよいますか。


マッサージ学校