サキさんのチェンマイ日記




「コピー天国」
   
 ■271■    8 月2日 2003
 
 
 アジアの大都市は、全てコピー天国とは、かなり昔からいわれていることです。

  サキさんの経験でも香港、バンコク、ソウルなど、繁華街をそぞろ歩きをしていると、よって来るのは「コピー時計があるよ」という怪しい呼びかけ。香港など は政庁がいくら取り締まってもイタチごっこで、解決の方法がありません。時計に限らず、有名ブランドのバックは韓国が一番、時計は、最近では香港製を上回 るのがバンコクだと、マニアの間ではその品質問が題視されて、話題がかまびすしいことでした。

 タイ北部の街チェンマイではさすがうるさい客引きの姿は見かけませんが、ナイトバザールなど、繁華街ではコピー商品が氾濫しているのが現状です。アメリ カの強硬な抗議に、政府も取り締まりに躍起になっているようですが、このコピー商品は、その国の経済状態が大きく左右して氾濫の度合いが違うようです。そ れにモラルの問題もあ
ります。

 タイでは、音楽関係のCDは版元がしかりしていて、70パーセントは正規版が流通しているようですが、その他のものに関しては、野放し状態のようです。

 最もひどいのは、VCDで、ほとんどが海賊版や違法コピーで、映画などは、劇場封切りの翌日には、街にコピーVCDが出回っているのが現状です。それも 信じられない値段で売られています。2時間の絵映画が、35バーツで、これでは劇場に出かけて封切りを、見るより安い勘定になります。それが、バーゲン セールよろしく平台に雑然とぶっこまれて売られているのが現状です。

 こんな光景は、前住地香港でもよく見かけたのですが、イギリスの植民地だった香港は、それでも、少しだけ近代都市の雰囲気があって、たびたび警察の取り 締まりが、TVニュースに登場していました。しかしここチェンマイでは、様子が一変、やりたい放題の感があります。新聞には時々取り締まりの報道がありま すが、それは、全て首都バンコクの話で、ここチェンマイではそんな話はとんと聞いたことがありません。

 この前も、愛用のマックが故障してディラーに修理に出したところ、いつ直るか、いくらかるかわからないと脅かされ、結新しい PowerBookG4Ti15インチを買ったのですが、日本語のソフトを持っていないかと聞かれ、すかさずコピーされてしまいました。そ
の時仕入れた話では、タイではコンピューターソフトは、ほとんどコピーして使われているとのことです。

 考えられないことではないと、さほど驚いてはいませんでしたが、辞書のコピーを簡単に作ってくれる事実に遭遇した時は、驚きが3倍になりまし た。YMCAでタイ語をブラッシュアップしていて、同時に家人もタイ語を習っていたのですが、彼女はサキさんより勉強熱心で日・タイ辞書が欲しいといい出 しました。どんなルートで仕入れたのか知りませんが、数日すると立派な辞書を手にしています。特殊な書籍ですので一般の書店では販売していません。それに 500ページの辞書です。まさかコピーしたとは現物を見せられた時、想像だにしませんでした。

 聞くところによれば、タイの学生は非常に貧しく、高価な参考書や、書籍を買うのが困難な場合がおおいようで、そんなときはコピー屋を頼るようです。よく 観察すると、街にはやたらコピー屋が目に付きます。ビザの更新や、運転免許更新時には非常に便利ですが、辞書のコピーの件を知ってしまって、改めて観察す ると、その種のコピー屋が、至る場所店を開いています。それも、異常に多いように感じます。

 2種類のコピー屋が存在する
ようで、古い型のコピー機を2、3台置いて商売をしている単純なコピー屋と、最新式のマシーンを備えて店の、奥に製本機を置いた本格的な店とがあります。 問題はこの本格的な方です。

 一寸、実地見聞のために、日本の文庫本を持ち込んだところ、簡単に引き受けてくれましたが、時間が3時40分を過ぎていましたので、今日はもう店じま い、明日来るようにいわれました。学校が引ける時間にコピー屋も店じまいのようです。その時覗いたのですが、コピー機の上には分厚い建築関係の本がのって いました。簡単に、複製本を作成中だとわかりました。それに傍らには、製本用のりなど用意されていましたから。

 著作権の問題をうんぬんする前に、向学心燃える貧乏学生にはこれは福音ではないかとも思えます。だって、著作料がかからないのですから安く高価本を手に することができるわけです。貧乏学生は、一日100バーツぐらいで生活しているともざらだと聞きました。三食の食事に大半が消えてしまうと、小遣いに困っ て食事をぬくことも平
気だといいます。そこまで切りつめての生活では、高価な書籍までが回らないことでしょう。そんな貧乏学生で、向学心に燃えた若者にはこのコピー屋はかなり の貢献をしているのではないかと、つい考えてしまいます。

 エンターテイメント向けのゲームソフトや、音楽CD、着飾ったり、虚勢心を満足させるだけのブランド品のコピーなどには、一寸顔をしかめてしまうサキさ んですが、こと書籍に関しては、おお甘になってしまうのは、根っからの読書好きがそうさせるのでしょうか。しかし、こんな考えは通じるわけでもなく最近の ニュースで2002
年中に販売された海賊版CDは、11億枚、99年と比べると倍になっているようです。

 最も悪質なのは中国、ついで台湾、タイ、ロシア、ウクライナ、ポーランド、スペイン、パラグァイ、ブラジル、メキシコ、中国などは、海賊版が全体の91 パーセントを占めていると発表されています。ちゃんとタイもワースト3にランクされています。

 しかし、タイの学生の現状を知るにつけて、これは単に法律を云々する問題ではないのかもと、そんな気もしてくるから不思議です。向学心に燃える苦学生の 強い見方ではないかと、ふといけない考えが頭をもたげます。それにこのコピー本、正規版と見まごうできばえなのですから、ますますその度合いが高まってし まいます。

 注文の時、表紙はハードカバーにするか、ソフトにするかの注文も受けてくれるということです。タイ人の手先の器用さを証明する話ではありますが・・・・



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