アジアの大都市はコピー天国とはかなり昔からいわれていることです。サキさんの 経験でも香港、バンコク、ソウルなど、繁華街をそぞろ歩きをしていると、よって来 るのは「コピー時計があるよ」という怪しい呼びかけ。香港などは政庁がいくら取り 締まってもイタチごっこで、解決の方法がありません。時計に限らず、有名ブランド のバックは韓国が一番、時計は最近では香港製を上回るのがバンコクだと、マニアの 間ではその品質問が題視されて、話題がかまびすしいことでした。
タイ北部の街チェンマイではさすがうるさい客引きの姿は見かけませんが、ナイト バザールなど繁華街ではコピー商品が氾濫しているのが現状です。アメリカの強硬な 抗議に、政府も取り締まりに躍起になっているようですが、このコピー商品はその国 の経済状態が大きく左右して氾濫の度合いが違うようです。それにモラルの問題もあ ります。
タイでは音楽関係のCDは版元がしかりしていて、70パーセントは正規版が流通し ているようですが、その他のものに関しては野放し状態のようです。
最もひどいのはVCDで、ほとんどが海賊版や違法コピーで、映画などは劇場封切 りの翌日には街にコピーVCDが出回っているのが現状です。それも信じられない値 段で売られています。2時間の絵映画が35バーツでこれでは劇場に出かけて封切り をみるより安い勘定になります。それがバーゲンセールよろしく平台に雑然とぶっこ まれて売られているのが現状です。
こんな光景は前住地香港でもよく見かけたのですが、イギリスの植民地だった香港 は、それでも少しだけ近代都市の雰囲気があって、たびたび警察の取り締まりが TVニュースに登場していました。しかしここチェンマイでは様子が一変、やりたい 放題の感があります。新聞には時々取り締まりの報道がありますが、それは全て首都 バンコクの話で、ここチェンマイではそんな話はとんと聞いたことがありません。
この前も愛用のマックが故障してディラーに修理に出したところ、いつ直るか、い くらかるかわからないと脅かされ新しいPowerBookG4Ti15インチを買ったのですが、 日本語のソフトを持っていないかと聞かれ、すかさずコピーされてしまいました。そ の時仕入れた話では、タイではコンピューターソフトはほとんどコピーして使われて いるとのことです。
考えられないことではないとさほど驚いてはいませんでしたが、辞書のコピーを簡 単に作ってくれる事実に遭遇した時は、驚きが3倍になりました。YMCAでタイ語をブ ラッシュアップしていて、同時に家人もタイ語を習っていたのですが、彼女はサキさ んより多少学究肌で日・タイ辞書が欲しいといい出しました。どんなルートで仕入れ たのか知りませんが数日すると立派な辞書を手にしています。特殊な書籍ですので一 般の書店では販売していません。それに500ページの辞書です。まさかコピーした とは現物を見せられた時、想像だにしませんでした。
聞くところによればタイの学生は非常に貧しく、高価な参考書や書籍を買うのが困 難な場合がおおいようで、そんなときはコピー屋を頼るようです。よく観察すると街 にはやたらコピー屋が目に付きます。ビザの更新や運転免許更新時には非常に便利で すが、辞書のコピーの件を知ってしまって改めて観察すると、至る場所でコピー屋が 店を開いています。それも異常に多いように感じます。2種類のコピー屋が存在する ようで、古い型のコピー機を2、3台置いて商売をしている単純なコピー屋と、最新 式のマシーンを備えて店の奥に製本機を置いた本格的な店とがあります。問題はこの 本格的な方です。
一寸、実地見聞のために、日本の文庫本を持ち込んだところ、簡単に引き受けてく れましたが、時間が3時40分を過ぎていましたので、今日はもう店じまい、明日来 るようにいわれました。学校が引ける時間にコピー屋も店じまいのようです。その時 覗いたのですが、コピー機の上には分厚い建築関係の本がのっていました。簡単に複 製本を作成中だとわかりました。それに傍らには製本用のりなど用意されていました から。
著作権の問題をうんぬんする前に、向学心燃える貧乏学生にはこれは福音ではない かとも思えます。だって著作料がかからないのですから安く高価本を手にすることが できるわけです。貧乏学生は一日100バーツぐらいで生活しているともざらだと聞 きました。三食の食事に大半が消えてしまうと、小遣いに困って食事をぬくことも平 気だといいます。そこまで切りつめての生活では、高価な書籍まで手が回らないこと でしょう。そんな貧乏学生で向学心に燃えた若者にはこのコピー屋はかなりの貢献を しているのではないかと、つい考えてしまいます。
エンターテイメント向けのゲームソフトや、音楽CD、着飾ったり、虚勢心を満足 させるだけのブランド品のコピーなどには一寸顔をしかめてしまうサキさんですが、 こと書籍に関してはおお甘になってしまうのは、根っからの読書好きがそうさせるの でしょうか。しかし、こんな考えは通じるわけでもなく最近のニュースでは2002 年中に販売された海賊版CDは11億枚、99年と比べると倍になっているようです。 最も悪質なのは中国、ついで台湾、タイ、ロシア、ウクライナ、ポーランド、スペイ ン、パラグァイ、ブラジル、メキシコ、中国などは海賊版が全体の91パーセントを 占めていると発表されています。ちゃんとタイもワースト3にランクされています。
しかしタイの学生の現状を知るにつけて、これは単に法律を云々する問題ではない のかもと、そんな気もしてくるから不思議です。向学心に燃える苦学生の強い見方で はないかと、ふといけない考えが頭をもたげます。それにこのコピー本、正規版と見 まごうできばえなのですからますますその度合いが高まってしまいます。注文の時、 表紙はハードカバーにするか、ソフトにするかの注文も受けてくれるということです。 タイ人の手先の器用さを証明する話ではありますが・・・・
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