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「季節を感じる」
■262■
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月4日 2003
6月に入った途端に、雨が降るようになりました。まるでカレンダーにあわせたように雨期に突入した感があります。雨は、一日中降るわけではありません
が、それでも明け方激しく降っているようで、目覚めて窓を開けると、ベランダが雨で濡れている日が多くなりました。
これで、日課の庭の散水から解放されると、ほっとすると同時に、なんだか楽しみ
を奪われてしまった様な気になりますから、人間はあまのじゃくです。いま
までも充分うるさく、安眠を妨害(家人)されていた痩せカエルの合唱が、恵みの雨の季節の到来で、一層激しさを増してきました。
過ぎ去ってしまえば、すぐ忘れてしまう人の常で、もう、昨日までのあの息苦しい
ほど暑かった日々を懐かしむ気持ちすらするのですから、人間の感情はいい
加減だと言われればそうかも知れません。昨年あれだけ悩まされた「雨漏り」も、結局雨期が過ぎてしまった途端にすっかり忘れてしまって、修理していませ
ん。今頃後悔しても遅い感じがしますが、今年の雨の降り具合はいかがなものか、いまから心配になってきます。チェンマイの夏季の暑さは尋常ではなく、テー
ブルや、椅子、ソファーから、階段の手すりまで、全てが暑くなります。
全く信じられない気持ちですが、移住したはじめの年は、これでは大変とわざわざ
家具屋に出かけて「ラタン」のソファーなど探したものです。香港から運ん
できた布製のソファーのクッションよりは、竹で荒く編んだ背もたれのラタンの方が、風を通し、背中に汗をかいたりしないと考えました。見るからに涼しそう
な感じなので買おうとしたのですが、アームレストの部分を触ってみるとかなり熱いのです。ますでのところで購入をあきらめました。
この時、家具の問題ではなく、チェンマイの暑さが異常なことに気がつきました。
不幸中の幸いは、このラタン屋さんは、戸外の店だったことです。もしこれ
が、エアコン完備の家具屋であったらソファーはそんなに暑くなっておらず、買い求めて、家に持って帰ったら、いままでのものと大差がなく、後で粗大ゴミ扱
いで、後悔したことでしょう。それくらいの暑さです。香港では湿気の関係で、半年はエアコンや除湿器をかけっぱなしになります。しかし、タイでは通常リビ
ングルームにはエアコンの設備がありません。今年は、暑さに耐えかねてエアコンを考えたくらいです。
そんな理由で、昨年の4、5月はこの時期、東京に避難しました。今年は、娘がソ
ンクランに参加するため、来タイしましたので、チェンマイにとどまりまし
た。わざわざ娘のために一部屋エアコンを設置しましたが、普段、東京のオフィスの寒さにへきへきしている娘は、結局一度もエアコンをつけずに帰っていきま
した。人工の涼しさよりも、自然が一番、暑いときは暑さをむしろエンジョイする気持ちが大切、などとうそぶいています。この精神はチェンマイの夏季向きで
はないかと、感心しました。娘達は一寸変わっていて、エコロジーを大切にすると言うことで、暑い東京の夏を、エアコンなしで過ごしています。歯を磨いたり
するときも、電気をつけません。歯は暗闇でも磨けるものだと、のたまいます。水道もほそい水を出して使います。限りある資源を大切にする気持ちからだと言
います。
結局、娘の影響もあって、リビングはこの夏エアコンなしで過ごしました。サキさ
んの家は中央が天井まで吹き抜けになっていますので、リビングにエアコン
の設備をするには、間仕切りをする必要があります。電気屋の話ではアルミサッシで仕切ればよいとは言いますが、せっかく木の窓でできている家が気に入って
いますので、部屋の中にアルミサッシとは一寸不似合いで、踏み切れません。いったんエアコンを入れると、その部屋から出るのがイヤになって、行動が鈍って
しまうのも怖いのです。隣の超肥満のアメリカ人は、この夏はエアコンを24時間つけっぱなしで、1ヶ月も家から出てきません。エアコンは温度調節がオート
になっているようで、室外機のモーターがついたり、切れたりするので、かえって静寂をこわしている感じで、迷惑です。この音を聞いているだけで、暑さが倍
加してしまいます。
読者の方からの要望で、ホームページのバックナンバーを再度アップすることにし
ました。2日がかりの大工事でした。写真を整理していて気づいたのです
が、写真には「暑さ」が写りません。写真を眺めている環境にもよりますが、どんな有名な写真家が撮ったものでもそうです。土門拳や、秋山庄太郎でもそうで
す。撮されている人物の着ている洋服や、周りの景色で何となく気温を感じるだけで、写真そのものには「暑さは」写りこんではでいません。
たとえそれが、海岸線に立つ水着のモデルであったら、最初に感じるのは「きれい
な女性だなー」や、「すてきなプロポーションだなー」「きれいな海岸だ
なー」や、「抜けるような空の色だ」などであって、「暑い日だナー」とは感じません。冬の季節であっても、「深い雪だナー」が最初で、見る人の体験によっ
て「寒むそうー」であっても、北海道の冬の寒さを体験していない人にとっては、写真からではその本当の寒さが伝わってきません。写真の中の「暑さ、寒さ」
は、写真を見る人の体験が相当影響している様です。見る人がその場所を知っている場合は、すぐに気温まで感じ取ることができますが、そうでない場合は、た
ぶんに想像を働かせて感じ取る必要があるようです。
チェンマイの季節を撮り続けるサキさんの写真を見て「綺麗ですね」との言葉はい
ただきますが、『暑そうですね』の意見は皆無です。チェンマイには「暑
さ」は有り余って存在します。見ただけで『暑さを感じる写真』、そんな一枚をそのうち必ず撮りたいと考えています。この試み、はたして旨くいくでしょう
か。
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