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↑ビルマ様式が色濃いメイホンソンの寺院
「メイホンソン」
■231■ 11月
22日 2002
帰って来ました、秘境メーホンソンの旅から。
といっても、今回は行きも帰りも300人乗りのボーイング737−400の、満席のフライトですのでそんな秘境に行ったという感覚はありません。
自動車で行けば、ゆうに10時間はかかると聞いていたので、今回は自動車を運転して行くのは諦めました。しかし、タイの田舎を探訪するのは、やはり自分
の車で気侭に行くのが最高のようです。ミヤンマーの国境に隣接するこの町へは、飛行機で25分の旅ですので、秘境というよりは思いのほか開けた町という印
象です。これが幾重にも重なった峠や、渓谷沿いの狭い道や、ヘアピンカーブの連続する山道を、10時間もかけてたどり着いたとなると感激もひとしおです
が、あっというまに着いてしまってはそんな感激も薄れてしまいます。
現地の情報では、チェンマイからは北回りと、南を回る二つの道路があります。南ルートは、メーリムを経由する山道を356キロ、バスで約8時間かかりま
す。険しい山岳地帯を経由する北回りは、温泉で有名なパイ経由で5時間のドライブです。このルートは道路が狭くて、アップダウンが激しく危険を伴うドライ
ブです。
しかし、ここは確かにタイの北部の秘境の一つに違いありません。小高い山に登れば、目の前にミヤンマー(ビルマ)との国境線の、険しい山並みが幾重にも
重なりあって見えます。本当に、小さな猫の額ほどの盆地に、新設された滑走路も見えます。町並みもタイのそれとは違って、何重にも屋根を重ねた尖塔が特徴
の、ミヤンマー建築様式のホテルやお寺だけです。人口は2万人、主に観光業で生計を立てていますが、観光シーズンは11月から1月のタイの寒い季節に集中
して、その他の時期は眠ったような町だということです。
今回の目的の一つは、この時期にしか見ることが出来ないメキシカン・サンフラワー(タイ語名プゥア・トーン)が、見渡す限り山の斜面にに咲き誇る様を見
たかった、家人の希望をかなえることにありました。今が満開と聞き出かけました。結果は雨で、その全貌は見ることが出来ませんでしたが、それでも、霧の晴
れ間にのぞく遠くの山並みまで黄色に染まっている景色には、本当に驚かされました。この町は霧の町で有名で、普段でも早朝は霧が立ちこめることが多いとは
聞きましたが、あいにくの雨、町から90キロ奥地に、車で往復4時間をかけてプゥア・トーンを見に行ったのにちょっと残念でした。
この花は、一説によると、この地にキリスト教を広めようとやってきたカソリックのメキシコ人宣教師が、なかなか思い通りに布教が進まないため一計を案
じ、「来年は奇跡で山一面に黄色く染まってしまうよ」との預言を、実現させる大きな奇跡を起こし、信者を増やしたとの由来があるそうです。きっと、自分の
出身地のメキシコと気象条件が似ているところで、こっそり種をまいて、それが一斉に花をつける時期を予言したのだと考えられます。キリスト教の布教活動に
は、この種の奇跡の話は多くあり、天文学をよくした宣教師が、一転にわかに昼間の闇夜の到来を預言し、その奇跡にアフリカ人が驚愕、神の偉大さに感嘆し、
信者になったという話があります。
ここのメキシカン・サンフラワー(ブゥア・トーン)もその伝で、この山奥のカレン族やモン族など少数山岳民族が住んでいたこんな秘境に、今ではカソリッ
ク教徒が多く存在し、ひっそり小さな十字架を頂いた教会が建っているのを遠望すると、キリスト教信者の存在を知ることが出来ます。それに、今では、このメ
キシカン・サンフラワーは一大観光資源になっていて、シーズンには世界中から多くの観光客を集めており、単にカソリック信者を増やしただけではなく、貧し
さからの脱却の手だても同時にもたらしたとなると、この宣教師の非凡なる先見の明が、多くの幸せををこの地にもたらしたといえます。
事実、今では、チェンマイからはデイリーに飛行機が3便が就航してい、シーズンは切符を取るのが大変なようですし、そのほか、バスやアドベンチャーク
ルージング、自家用車などでやってくる実に沢山の観光客でにぎわっています。事実、この時期のホテルは何処も満室です。もちろん大きなホテルは数えるくら
いしかありませんが、メキシカン・サンフラワーが咲き誇る11月から1月までの3ヶ月は千客万来という状態です。
さて、このメキシカン・サンフラワー、小型のひまわりと聞いていましたが、近づいてよく観察すると「ひまわり」というよりは、大型の野菊という感じで
す。花の直径は7センチくらい、黄色の花びらは一重で、ひまわりのように何重にも重なりあってはいません。一番の相違点は、茎がひまわりのように一本直立
しておらず、何本も枝分かれをして、それが沢山の花をつけています。この花を持ち込んだメキシコ人にちなんでこんな命名がされたようです。
見渡す限りの遠くまで、一望できる山の斜面は黄色一色で、それに深い山と、高い山脈の連なり見ると、雨期には霧の発生する日々も多く、そ霧の日でも強烈
に存在感を示すこの黄色い花、一面の黄色の中に静かに佇んでいると、幸せを運んでくる色は、黄色以外に考えられないような気分になってきます。山田洋次監
督の映画「幸せの黄色いハンカチ」を何十倍にした大きなスケールの幸せがここにはあります。きっとこの花を持ち込んだ宣教師も、同じ心境であったに相違あ
りません。
ともかく、この霧に包まれたあいにくの日和でも十分に強烈で、土着宗教や、敬虔な仏教徒をも改宗さたパワーを持つ、強烈な黄色の氾濫は、その広大なス
ケールの全貌を見ることが出来なものの、来年は、出来ればもう一度満開の時期に訪れて、全貌を見てみたいという欲望を起こさせるにまりある光景です。
霧が立ちこめる山岳地帯は、またコーヒーの産地でもあります。しかし、コーヒー豆は一にぎりのシンジケートが価格統制をしていて、収入が一定しません。
さしたる収入源のないこの地では、コーヒー間ねの栽培も収入が不安定です。観光シーズンに限って、村の学校が粗末なコーヒーショップを経営しています。途
中のドーイ・メー・ウコンという村の学校に立ち寄り、暖かなコーヒーを飲みました。雨と霧で冷えきった体に、心地よい暖かさを感じさせてくれる味でした。
タイは教育熱心な国で、どんな田舎に行っても立派な学校があり、識字率も90パーセントに達していると聞きます。なるほど、こんな山奥の小さな学校でも、
モン族の子供たち10人くらいが熱心に勉強をしていました観光客が立ち寄ると、生徒がコーヒーを入れてくれます。
この子たちは、押し寄せる外国人をどんな目で見ているだろうかと考えると、ちょっと複雑なな気分になってしまいます。
幸せの
黄色いひまわり
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